甘味同盟
本日も3話更新です。
「え?そうだったの?
私はファモがファイターでメローヌがプリーストだと思ってたけど」
「普通はそう思うみたいですわね。
クレアさんはどうして分かったのかしら?」
「何故と言われても……シゾンもそうじゃが、先にどんどんと先行したがるのは重戦士型によくある特徴じゃからな。
逆にファモさんはこのような道中でも辺りへの警戒は怠っておらん。
これは正にレンジャーの特徴じゃよ」
4人は道を前にシゾンとメローヌ、後ろにファモとクレアという編成で歩いていた。
その歩き方の仕草などでクレアは其々の適性を見抜いたのであった。
「やはりクレアさんは凄いのですわね。
初日に一階層をクリアーしただけはありますわ」
「そうそう、その話聞きたかったから。
まずはここでお茶でもしながら話しようよ」
そう言ってファモに連れられてやってきたのはカフェであった。
季節の花で彩られた外装は、通りがかる女性の視線を集め、中にはフラフラと誘われるように入店していく。
「あ、ここって結構噂になってた場所でしょ?
人気店の割には人が少ないような……」
「朝一番ですからね。
これから混雑していくのでしょうが、流石にこの時間から混むという事は無いそうですわよ」
「お姉ちゃんの好きなものも沢山あると思うよ。
今日は遠慮しなくていいんだからね」
「う、うむ……そうじゃな」
席に案内されてメニューを見てはソワソワとするクレア。
クレーズだった頃は甘いものが苦手だったのだが、ハイエルフの身体になってからは甘い物がとても美味しく感じられるようになったのだ。
だが、男だった頃には絶対に食べないというスタンスであったため、それを崩さずに我慢していたわけである。
「えーっと、私はキャラメルのラテと季節のケーキにしようかな」
「私も同じのにしましょう」
「あ、じゃあ私達も同じ物で良いよね、お姉ちゃん」
「う、うむ、そうじゃな」
こうして注文を終えた後も落ち着きなくチラチラと厨房の方に目線をやるクレア。
「あはは、クレアちゃんって甘い物が大好物なんだ」
「な、いや、そんな……」
「ふふふ、隠さなくてもよろしくってよ。
私達も大好物ですから」
「ここは言わば甘味大好きな人達が集まる甘味同盟の店。
遠慮なんてしなくて良いって言ったでしょ」
「おお……何と素晴らしき響きか。
う、うむうむ。
本当は大好きで今も楽しみなのじゃよ」
そうして女性4人でキャッキャっと華やいだ会話をしていると、テーブルの上に4人前のラテとケーキが並んだ。