階層チェック
エリーの指示に従って自分の部屋で着替えるイズ。
赤と黒のチェック柄のゴシックドレスに、同じカラーのヘッドドレスを装着する。
また、赤と黒の2本のリボンを髪にかざすと、それらは自動でイズの髪をツインテールへと纏めていった。
ガーターベルトを装着して、脚には編みタイツ。
右足は黒、左足は赤のパンプスを装着する。
武器は変えずに巨大なハンマーのままである。
それらを装着した姿はハンマーを除けば、これからデートに出かける地雷系女子にしか見えない姿であった。
「先生、準備できました」
「んん〜もう!
本当に可愛いわね。
やっぱりこのまま……」
「本気でどつきますよ」
イズが背中に背負ったハンマーに手をかけて目で威圧する。
「じょ、冗談だから」
「それなら良いんです」
「その代わり……焦らされた分は凄いことになる事を覚悟しておいてね」
「ん……まぁ、それは甘んじて受け入れますよ」
その時のことを想像したのか、イズはピクンと身体を反応させて顔を赤らめて俯いた。
「そんな表情見せられたら我慢できなくなるでしょう!
サッサと片付けるわよ」
エリーはそう言って意気揚々と外に飛び出した。
「はぁ……仕方のない人ですね」
イズもやや呆れつつ……火照りの治らない頬のままで後をついていくのであった。
「それで、何層から行く?」
「卒業ラインの40からにしましょうか。
イレギュラーの目撃証言から、そこに近い階層だと思います」
「オッケー、それじゃ行くわよ」
ダンジョンの入り口近くに設置されたエレベーター。
エリーが自身の職員カードをかざすと反応して扉が開く。
このエレベーターは各階層に通じており、生徒や職員のカードをかざすことで起動。
最高到達階層まで運んででくれるという仕様になっている。
イズ達はエレベーターを使って40層に到達する。
エルリック冒険者育成学校では、卒業試験までに40層に到着している事が最低条件となる。
そして、卒業するには試験の日にここから更に5層下に潜り、そこにある卒業許可証を取りに行かなければいけないのだ。
「ここはあんまり変わらないみたいね」
「そうですね……上の階に行きましょうか」
イズ達が問題視している事、それは本来下層にいる魔物が上の階に上がってきている事である。
数時間前にイズが救助に行った時に出会った魔物……オーガも本来ならばあの階層で出る魔物では無かった。
イズと話していた男女のパーティではとても敵う相手ではなかったであろう……そう考えると、あの2人はとても幸運に恵まれていたと言って良いだろう。
下層の魔物が上に上がってくる理由は一つ、突然変異で強力な魔物が生まれて逃げ出してきたのである。
その動きは徐々に上に上がっていき、一階層の魔物はダンジョンの外に出てくるだろう。
生徒達全員が一階層の敵ぐらいならすぐに倒せるであろうが、それでも魔物が突然現れればパニックになることは間違いない。
それを防ぐ為に行動を起こしていたのである。
こうして40層からチェックして行って38層に着いた時、2人は直ぐに異変を感じ取った。