クラスメイトとお出かけ
3-3です。
購買部での取引を終えた二人は寮へと帰っていく。
基本的にダンジョン活動は気力・体力の両方を使うので、その日はさっさと休むように強く言われている。
冒険者としての鉄則を熟知しているクレアはもちろん風呂、夕食後にすぐに就寝。
クレアを尊敬するシゾンもそれに倣ってすぐにベッドにダイブしていった。
明けて翌日は休日である。
入学してから一ヶ月の間は、休日と言えどもやる事が多岐に渡っていて中々休みが取れなかったので、彼女達にとってはここが初めての休日と言ってよいだろう。
「お姉ちゃん、今日は街に行ってみようよ」
「構わぬが、2人だけでか?」
「えへへ〜お友達も誘っちゃったから合計で4人だよ」
「クラスメイトと交友を深めるのは良いことじゃな」
こうして2人は校門前でクラスメイトの女子2人と合流する。
「ええっと……ファモさんとメローヌさんじゃったかのう?」
「そうだよ、ちゃんと覚えててくれたんだ」
「今日はよろしくお願いしますわ」
男の子のような短い髪のファモと、腰まで届く程に長く美しい髪をしたメローヌ。
対照的な2人であるが、栗色の髪と顔立ちは共通している。
「2人は確か双子じゃったよな」
「そうだよ。
辺境のヨーテル男爵の所の娘さんだって」
「ほう……貴族の娘さんが冒険者を志すとは珍しいものじゃな」
学園から街までの道を歩きながら雑談に花を咲かせる4人。
学園はダンジョンを保有しているという事で街からやや離れた場所にあるのだ。
「貴族って言ってもウチは末端。
下っ端も下っ端だからね。
貴族内ではこんな木っ端令嬢なんて相手にしてくれないんだよ」
「そこで私たちは己の力で強い功績を上げようと考えました。
魔大陸を探検するかはまだ決めていません……しかし、ここで習った事を活かして高位の冒険者となれば周囲の目も変わるでしょう」
「ほんと2人とも変わってるよね。
それってファモの思いつきでしょ?
メローヌはよく付き合ってくれたよね」
シゾンがそう話すと、ファモとメローヌは顔を見合わせて大笑いし始めた。
「あっはっはっ、やっぱりそう思う?
でも、これは姉貴のアイデアで私は乗っかっただけなんだよね」
「うふふ、力こそ正義でしてよ。
どんな逆境も己に力があれば乗り越えられますわ」
「ふむ、まさに真理を得た考えじゃな。
見たところ、ファモさんの方がレンジャー。
メローヌさんの方がファイター……それもシゾンと同じ重装備系のようじゃからな。
クラスに性格がよく反映されておるわい」
クレアは1人納得したようにうんうんと頷く。
だが、2人はクレアの言葉でぴたりと笑いが止まった。
「やっぱクレアちゃんって凄いんだな」
「私たちの適性を取り違えずに当てたのは貴女が初めてでしてよ」