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遅咲きの辛さ

「ああいうのが多くて困るんですよね。

強い武器を持って自分が強くなったと勘違いしているんですよ。

最初の方は順調に進んでいくのですが、段々とダメージが蓄積して動けなくなり、最後には救難信号を出してしまうんです。

ダンジョンに入って1〜2時間くらいの話ですね」


そう言いながらイズは男子生徒を持ち上げて荷車に乗せていく。


身体の大きいシゾンも手伝って、彼らの武器を積んでいった。


「その間、イズちゃんは大忙しという訳じゃな」


「ええ……なので、スピード優先でトラップ完全回避の効果が付いているこの衣装を着てるんですよ。

こう見えて超レア装備なんですよ、これ」


「なるほどねぇ。

まだ、救助する人はいるの?」


「えーっと……これで全員みたいですね。

お手伝いありがとうございました。

良かったらこれをどうぞ」


そう言ってイズが渡してきたのは何の材質で出来ているのか分からない鍵であった。


「このダンジョンの宝箱の中には鍵がかかったものがあります。

これはそんな宝箱の鍵を開けてくれる使い捨ての鍵ですね。

レンジャーの方に鍵開けしてもらう事もできますが、基本は持っておいた方がいいですよ。

購買部で売っていますので」


「おお、そこまでは気を回しておらんかったので助かるのう」


「ありがとう、イズちゃん」


「お二人の健闘を祈っていますよ」


荷車を引いて自分たちが来た道を引き返していくイズを見送り、クレア達は先へと進む。


時折、魔物に襲われる事もあるのだが、第一階層の魔物はそれほど強いわけではない。


現状はシゾン1人でも十分に戦えるほどである。


「クレアちゃんはまだ控えてていいからね」


「それじゃ楽をさせてもらおうかのう」


現状ではクレアがやれる事は非常に少ない。


神子としてのスキルを覚えているわけではなく、使える魔法も無いので豊富な魔力を持て余しているのである。


これはこの学園の新入生全体に言えることではあるが、最初から最後まで安定しているファイターに比べて、他のクラスはすべて遅咲きである。


それでもまだ戦えるレンジャーならマシな方で、簡単な魔法を使うもすぐにガス欠になるプリーストやソーサラーは前半期はとてもキツい傾向にある。


クレアの場合はナグモの実家から取り寄せた神事の巻物によりスキル習得の足がかりを得たものの、この日までにスキルの習得は間に合わなかった。


その為に今は完全なお荷物になっているわけである。


「ワシがこんな風におんぶに抱っこ、役立たずな状態で進むことになるとはのう。

人生どうなるか分からんもんじゃ」


「おじいちゃんがこんなに可愛くなるんだから、そりゃ分からないよね。

でも、クレアちゃんのアドバイスのおかげでこうして進めてるんだから!

役立たずなんかじゃないからね」


「そうか……ありがとうのう。

ワシは孝行な孫娘を持ったもんじゃわい」


瞳にホロリと流れるものを感じながらクレアが感慨深げに言う。


「も〜孫娘とか言わないの。

今は立場上は義姉妹なんだから……ね、お姉ちゃん」


次回、どちらが姉か論争に決着!

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