クレアに起きた問題
本日3話更新です。
「どういうことなのじゃ?」
「ちょっと鑑定をかけてみますね」
そう言ってイズが女神の神子姫という言葉に対して鑑定をかける。
「ええっと‥‥プリースト系サポートクラスのようですね。
女神に捧げる踊りを舞う事によって様々な軌跡を顕現することが出来るみたいです。
適正武器は……え?扇って、本気で言ってるんですか?」
あまりにも予想外の鑑定結果に思わずツッコミを入れてしまうイズ。
「よくは分からぬが、それがワシの適正だというのであれば甘んじて受け入れるべきであろうな」
「何だか分からないけど特別なものが出てきたった事だよね?
クレアちゃん、すごーい!」
クレアの適性結果にやや騒めく教室。
その反応とは裏腹にイズとエリーの顔は暗く、やや困った顔をしていた。
「はいはい、盛り上がるのも分かるけど少し静かにしましょうね。
皆さんの適性が測れた事で今日は解散とします。
自分の適性を考えてどう言った授業を取るか、よく考えてね。
後、クレアちゃんは少し話があるので残るように」
クレアには居残りを命じ、他の生徒は解散していく。
だが、当然という顔でシゾンも共に残っていた。
「して、話というのは何じゃ?」
「率直に言うと、我が校でクレアちゃんに教育を施す基盤が整っていないの。
扇を戦いに使うような人はいないし、踊りで奇跡を起こすスキルを持っている人もいない。
現状できるのは体力と魔力を向上させるトレーニングくらいね」
「もちろん適性を捨てるという方向を取ることもできます。
その場合でもハイエルフの特性を考えればレンジャーやソーサラーの取得は難しいことではないでしょう」
「そんな……」
話を聞いて暗い表情を見せるシゾンだが、クレアは予想していたのか表情に変化はない。
しばらく目を閉じて考える……まとまったのか目を開けたクレアが2人に質問をした。
「本当に手がないのであれば問答無用でその道に行かせるのではないのか?
こうして話をしていると言う事は、お主達にはその扇を扱う者やスキルの取得に心当たりがあるのでは……と、思うたんじゃが」
クレアの問いを聞いた2人は顔を見合わせる。
そしてエリーが頷き、イズの方から話し始めた。
「心当たりは……実はあります。
私の故郷では神に仕える者が踊りを捧げる儀式というものがあるので、実家から資料を取り寄せればヒントは得られるはずです。
扇の使い手も同じように実家の方で心当たりがあります」
「なんだ!
じゃあ、その人にお願いすればいいんだね」
解決策が提示されて明るい表情に変わるシゾンだが、イズの表情は普段の無表情からでも読み取れるくらいに落ち込んでいた。
「その人物とは一体誰なんじゃ?」
その雰囲気を感じ取ったクレアが再び質問をする。
「その人は行商のために世界中を飛び回り、護身の為にあらゆる武術を身につけた人物。
ナグモ・アラタ……私の祖父です」