クレアとハイエルフ
「へぇ〜私には良く分からないけど、どういう方法なの?」
いつの間にやら隣に座っていたエリーが尋ねる。
「今、クレーズさんの名前で二つのデータを引っ張ってきているから混線している訳です。
なので、今のエルフの姿で新たな名前を名乗ればいい訳ですよ。
そうすればグレーズさんと新たな名前でキチンとデータが分かれるはずです」
「むむむ……今更別の名前など……」
「あ〜ら、名案じゃないの。
ねぇ、クレアちゃん」
意地の悪そうな顔をしたエリーが唐突にクレーズに向かって言い放った。
「はぁ?誰じゃ、クレアとは」
「貴方のことですよ、師匠。
元の名前からあまり変わらないのに可愛らしい名前で良いじゃないの」
「確かにいい名前だと思いますよ」
「いや、しかしワシには可愛すぎるというか……」
「あ、鑑定の結果がクレアで固定されましたね」
「口では何のかんの言って気に入ってるんじゃないの。
心の中で認めないと固定化されないわよ」
「ぬぬぬ……えーい、仕方ない!
この姿の時のワシはクレアじゃ。
今度からはそう呼ぶと良い」
照れて赤くなりながらそう話すクレーズ改めてクレア。
「師匠もすっかり可愛くなっちゃって。
それで鑑定結果はどうなの?
やっぱりエルフで間違いない感じ?」
「え……ええっと……これは予想外でしたね。
クレアさんの種族はエルフではありません。
……ハイエルフです」
「えっ!?」
「……やはりそうであったか」
ハイエルフという事実に驚くエリー。
しかし、当の本人であるクレアは予想がついていたらしく落ち着いて現実を受け止めていた。
「クレアさんはある程度予想がついていたみたいですね」
「エルフという種族は殆どが髪の色が金と決まっておるからのう。
それ以外の髪色はハーフエルフかもしくは……」
「ハイエルフって訳ね。
ハイエルフなんて見た事ないけど、金と対になる銀髪って言われれば納得もしちゃうわ」
「うむ、ワシもそれで自分がハイエルフになったのではと当たりをつけておった訳じゃな」
エリーの言葉に大きく頷くクレア。
「でも、その姿でよくここまで1人で来れましたね。
……って、クレアさんなら誘拐犯ぐらい1人で倒せますよね」
「それなんじゃがな……どうやら姿が変わった事で能力に変化が起こったらしくての。
魔力はとてつもなく上がったのじゃが、筋力や体力が著しく落ちてしもうた。
普通の剣ですら重たくて振るう事が出来なくなってしまったんじゃな」