表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/194

タカシ君(仮)

2023/04/03 12:20

ナハトの口調を修正しました。

声を頼りにアドゥラ達がたどり着いたのは、とある部屋の前であった。


「ふむ……位置的にここは女生徒の更衣室があったと思うが」


「うむ、更衣室と書いてあるな」


「なるほど。

時にナハト君、君はオスなのかね?」


「我はオスだが……幾ら何でも人間の女性に興奮などせぬぞ」


「いやいや、確認のために聞いておきたかっただけさ。

さて、中に入ってみようか」


アドゥラがそう言って扉を開く。


中にいた女生徒達は驚きの表情を浮かべるも、それが教師である事で落ち着きを取り戻していた。


「すまないが何があったか聞いてもいいかな?」


「あ、あの、そこから覗かれていたみたいで……」


女生徒の1人がそう言って窓の方を指差す。


当然のことではあるが、そこには既に人の姿は見当たらない。


「ふむ、私は犯人の手がかりがないか調べてみよう。

君たちは自主練に向かうのだろう?

ここは任せておきたまえ」


「はい、分かりました」


アドゥラに促された女生徒達は素直に更衣室から出ていく。


「さて、ナハト君。

ここには君と私しかいない……そうだね?」


「まぁ、見た感じではそのようだな」


「おや、何か気になることでもあるのかな?

例えば……実はまだこの部屋に誰か隠れているとか?」


一瞬、更衣室の端から動揺したような気配を感じ取る。


「おやおや、このくらいで動揺してしまうとはね。

スキルで姿は消せても気配は消せないと教えたはずなのだが」


「くそっ!」


突如として更衣室の端の方から男子生徒の姿が現れる。


彼は何とか入り口から脱出しようと試みるが……


「私から逃げられると思っているのかね?」


敢えなくアドゥラに捕まり、床に投げ飛ばされてしまった。


「さて、君は……」


「せ、先生!?」


アドゥラは男子生徒を組み伏して馬乗りになった状態で顔を近づけていく。


覗きがバレて捕まり、投げ飛ばされた上でアドゥラの顔が間近に迫るという状況に男子生徒は脳の処理が追いついていないようである。


「ふーむ…….うむ……んん……」


「そこまで近付いても顔がわからぬのか?」


「いやいやいや、何を言うのだね。

そんな訳がないだろう。

しかし、このような事件で本名を読んでしまうのは可哀想であるからな。

仮に……そう、仮にタカシ君としよう」


「え、お、俺のことか?」


「どうやらそのようだぞ?タカシ君とやら

それが嫌なら素直に名乗るほかないだろうが……どちらが良いだろうな?」


「タカシ!タカシでお願いします!!」


「よろしい、タカシ君。

君にとても良い話があるのだよ」


そう言ってニンマリと笑うアドゥラ。


タカシ(仮)にはその笑顔が悪魔の顔に見えたと言う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ