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エピローグ 新入生

「行っちゃいましたね」


卒業生達が全員去った後の学園。


1学年分だけ空っぽになった寮の部屋を点検していたイズとエリーは、彼女達がいなくなった事を実感していた。


「トラブル起こしてばかりの連中だったわよね……淋しいんじゃない?」


「……そうですね。

寂しくないと言えば嘘になりますよ」


「あら、珍しく素直じゃない」


「私はいつだって素直ですよ。

ただ表情が動かないだけです」


イズは表情を動かす事なく淡々と仕事をこなしている。


長い付き合いのあるエリーには、それが寂しさを誤魔化す為だという事が理解できていた。


「ねぇ、また担任から外れて普通の保険医に戻る訳だし暫く休み取って旅行に……」


「おーーーい、イズはおるか!」


心配したエリーがリフレッシュに誘おうかとした時、校庭の方からイズを呼ぶ声が聞こえた。


「この声は……お祖父様?

今頃になって一体何を……」


イズの祖父であるナグモは、クレアの人格が変わる事件の責任を感じていた。


その為に事件後は学園の外に治す方法が無いかと探っていたのだが、卒業試験直後の話と、最後の試練を受ける事で何とかなりそうだという連絡を送っていた。


その為に帰ってきたのだとばかり思っていたのだが、何やら様子がおかしい。


彼の後ろには深いフードで顔の見えない人物が数人立っていた。


「いや〜いきなりすまんな」


「いえ、それよりもクレアさんの件なんですが……」


「おお、ついさっきすれ違って事の顛末を聞いてきたわ。

新しい孫が出来たと言って喜んでおったぞ。

と……そんな事よりも、こいつらの面倒を学園で見れんか?」


そう言ってナグモは後ろにいた人物、目の前まで来た事ではっきりと4人と認識した人物を指差す。


「この方達は?」


「旅先で出会ったんじゃが中々に話が分かる奴らでな。

この学校にも興味があったらしく連れてきたんじゃよ。

皆、挨拶をするのじゃ」


ナグモの号令で全員がフードを取ったのだが、イズはその姿を見て、表情には出さないものの驚いた。


全員が獣の頭をしており、其々に、狼、虎、兎、牛と違う動物であった。


「いきなり押しかけて来てすいません。

我らは獣魔族。

魔力を頭に集める事で獣の特性を得た種族です」


「ナグモ殿にここなら修行にも強者にも困らぬと聞いてな」


「外の世界の見聞を広める意味もあって送り込まれて来たのよ」


「ぶも……」


「と言うわけでよろしく頼むな」


「お祖父様、急にそんな事言われ……」


「あ、いい所にいた!

ちょっと頼みが……」


急なナグモの願いに戸惑っている所に現れたのは元アンデルスト家の二人で、今はエルフの里のギルドで働いている筈のカプスとイリスであった。


「あら、2人ともどうしたの……って、その子たちは?」


「実は今のエルフの里の現状を知ったダークエルフ達が押しかけて来たんだよ。

それで、人間の里を知る為にも学園に入学するって聞かなくってさ」


「それで一旦お連れした次第っス」


カプスとイリスの後ろには6人ほどの、肌が黒くて耳の長い美男美女が立っていた。


「ここがハイエルフ様の居られた学び舎か。

急な事ですまないがどうか我々にも学びの機会を与えて欲しい」


リーダーっぽい先頭の男性が頭を下げると、後ろの面々も倣って頭を下げる。


「ウチは来るもの拒まずだから別に構わないけど……どうやら寂しがっている時間は無さそうよ」


「仕方ありませんね。

これだけ特殊な方達が揃ってしまったら、また私達が教壇に立たなければいけないでしょうし」


イズは呆れながらもどこか嬉しそうな声でエリーに答える。


今後もこの学園からは様々な卒業生が生まれて活躍していく事だろう。


しかし、世界がどれだけ変わろうと、この2人の居場所が変わる事はない。


何故なら2人は保健室の女神と天使なのだから。

最後は駆け足になってしまいましたが、これにて完結です。

三年は長すぎたり、タイトル詐欺だったよな、などと反省の多い作品でしたがお付き合い頂きありがとうございました。

未だに連載中の勇者と魔王の配信稼業、そしてこれから先の新作もよければよろしくお願いします。

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