クラリッサの意外な事実
「どうやら終わったみたいですね」
「みんな、本当にお疲れ様」
突然の転移に戸惑っているシゾン達の前に現れたのはイズとエリーであった。
「この2人にも話を通した方が良いだろうと思ってついでに呼んでおいたわ。
それと、貴女も見えるようにしてあげるから出てきなさい」
レーアがパチンと指を鳴らすと、全員の目の前に見慣れない……クレアだけは見慣れた女性の姿が現れる。
「え、あなたってひょっとして……」
「あ、あはは〜どうも〜。
面倒だからこのままスルーしようと思ってたのに、何でバラすのよ!」
現れたのは幽霊として何度もシゾン達と関わってきたクラリッサであった。
初めて目の当たりにした彼女の姿であるが、ふよふよと宙に浮いている姿を見て認識のないテッドとヨーデル姉妹以外は彼女の正体を察する事が出来た。
通常時にその存在を認識できるのはクレア、エメリア、レーアのみ。
イズでさえ鑑定眼によって、その場所にクラリッサがいる事が分かり、鑑定文にて何を伝えたいかを理解できるという程度である。
だからこそ今まで彼女の存在を忘れていたわけだが……
「そう言えばクラリッサさんなら自由にここに出入り出来るんでしたね。
すっかり忘れてましたよ……私としたことが」
「ま、まぁ、思い出して連絡取れてたとしても何か出来たわけじゃないし」
珍しくやらかしたと落ち込むイズを慰めるエリー。
「くくく……予想通りに良いものを見せてもらったよ」
「レーア、涎を垂らしながら言うセリフじゃないわよ、それ」
2人の姿を涎を垂らし、何かに書き込みながら眺めるレーアにツッコミを入れるクラリッサ。
「レーア様とクラリッサさんはお友達だったのですね」
「まぁ、同じ神として交友があるといった程度だがな」
「ああ、神様ならそれは交友が……って、え!?
クラリッサさんって悪霊じゃなくて神様だったの!!」
レーアの突然の爆弾発言に驚くシゾンとクレアにエルフ組。
イズに関して鑑定眼の説明文に出ていて知っており、エリーもその情報は共有していた。
テッドとヨーデル姉妹に至っては、この時点で場違い感を悟って部屋の中を散策し始めている。
「はいはい、皆さん!
まずは落ち着いて一つずつ整理して話を片付けていきましょう」
かなりカオスな状況になっているこの状況をまとめ始めたのはやはりトラブル慣れしているイズであった。
イズの号令によって再度落ち着きを取り戻したシゾン達。
結局、この散らかった部屋では話が全く進まないと言う事で、今度はイズとエリーの家へと場所を移して話を進める事にしたのであった。