身につけた慎重さ
イズの案内により7人は46階層へと向かうエレベーターへと向かう。
「今更だけどこんな大人数で行って大丈夫なのかな?」
「人数指定はありませんから大丈夫でしょう。
それと46階層から下は巨大な魔物が多く、その分だけダンジョン自体が広めに作られているのでこの人数で行動するなら問題ないでしょう」
話していると直ぐに目的のエレベーターへと辿り着く。
「既に設定は済ませてあるので問題なく下に行けるはずです。
それと、ここからはエレベーターで帰るということが出来ませんので、転移の魔法が組み込まれた笛を渡しておきます。
吹くとここに戻ってきますので」
「何から何まで……イズちゃん、本当にありがとう」
「いえ、元は私の祖父がやらかした事でもありますから。
やり直すときはここからですが、上の階と違って構造は固定されているので、マッピングしていれば少しずつ探索しやすくなると思います」
「本当に色々とありがとうございます。
無事に探索を終えたら何かお礼をしなくてはいけませんね」
クレアの言葉にもイズは首を振る。
「いえ、本来ならば私達が解決しなければいけない問題を背負わせてしまっているのです。
……くれぐれもお気を付けて」
イズが見守る中で7人はエレベーターに乗って46階層へと向かう。
辿り着いた場所はいつものダンジョンと同じ……だが、イズの言う通りに全てがやや広いダンジョンであった。
「先ずは私が探知して共有するからね」
前に出たファモがレンジャーの探知スキルを使う事で罠の場所や魔物の位置が正確に把握できる。
更にそれをパーティ間で共有する事で、仲間達にも罠や魔物の位置がわかるようになっていた。
「うお……こりゃ便利だな」
突然視界に赤や黄色の光が現れたテッドは驚きの声をあげる。
「テッドってソロだったんでしょ。
罠とかどうしてたの?」
「どうって、低いレンジャー技能しかないから少し進んだら探知して、また少し進んだら探知してを繰り返しの地道な作業だよ」
「なるほど……若い割に練度が高いと思っていたが、そう言うわけか」
「デアンちゃん、どう言う事?」
「どうもこうも……ファモのスキル下の中でも逃しが無いかと確認し、警戒しながら進んでいるのが分からんのか?
スキルに頼る事なく己の身体で出来ることをやろうとする姿勢……おいそれと身につく物ではないな」
「若い……って、エルフから見ればそうか。
ソロでやってたら一つのミスで手遅れになるからな。
慎重さは自然と身につくもんだよ……っと、敵が近づいてきたな」
魔物の接近を感じてテッドとファモがいち早く構える。
残りの5人は遅れて戦闘体制に入るのだった。