意外な救援
翌日の早朝、2人は準備を整えてから46階層に向かえるエレベーターへと向かう事にした。
この探索に仲間は関係ない。
そんな思いから2人だけで向かう事を決意したのだが……
「遅いよ〜さぁ、行こう!」
「私達は準備万端ですよ」
寮を出るとそこには装備を整えたファモとメローヌが待ち構えていた。
「え、何で2人とも……」
「私達だけじゃありませんわ」
「全く、朝から元気だな」
「お二人だけ抜け駆けなんて許しませんよ」
メローヌの指摘で後ろを振り返ると、そこには同じように装備を整えたエルフ組が立っていた。
「オヴァーニとデアンも……なんで何も言ってないのに……」
「長い付き合いなんだから分かりますよ」
「エルフ的にはそれほどの長さでもないんだがな」
「デアンは揚げ足を取らない!
とにかく、私達は仲間でチームです。
なら手助けさせてください」
「でも……でも……」
仲間達の気持ちが嬉しいが巻き込みたくないそんな気持ちで感情が乱されたシゾンの目からは大量の涙が溢れていた。
そんなシゾンの肩にクレアは優しく触れる。
「シゾン、これは確かに私達の問題よ。
でも、こうまで言ってくれる友達の手を振り払う事が正しいだなんて私には思えないわ。
だから、思いきって甘えて助けてもらいましょう」
「お姉ちゃん……うん、そうだね。
みんな、助けに来てくれてありがとう!
どうか、手伝ってください!!」
シゾンが仲間達に向かって頭を下げる。
すると彼女達は全員が最高の笑顔で肯定してくれるのであった。
「青春といった感じで素晴らしいですね」
そこに聞き覚えのある声がかかる。
現れたのは保健室の天使ことイズであった。
「まさかイズちゃんも助けに!?」
「いえ、私はとある事情による直接手助けする事を禁止されています。
ですので、助っ人を連れてきました」
イズがそう言って横に一歩動く。
その後ろには……
「よう、何だか大変な事になってるみたいだな」
シゾン達と同じように卒業試験を合格したテッドの姿があった。
「テッド?
どう言うことなの、イズちゃん」
「今回の探索条件はその年の卒業生であること。
この条件が出されてから私は密かに彼の事を鍛え上げていました。
間違いなく彼は役に立ちますので連れて行ってください」
「全然説明はしてくれないから事情は知らないけどよ。
師匠が言う事に間違いはないからな。
俺にも手伝わせてくれよ」
「彼は頑丈ですから使い潰してもらって構いませんよ」
「師匠、そりゃひでぇよ」
容易い会話をする2人からは確かな絆のようなものを感じ取る事が出来た。
シゾン達はその提案をありがたく受け、いつもの6人にテッドを加えた7人パーティで探索へ挑む事になったのである。