メローヌの気持ち
「とにかく、シゾンのあれは流石に見逃せません。
オヴァーニさんとデアンさんも交えて対抗策を練りましょう」
というメローヌの号令の元に集った4人。
議題はもちろん、度を過ぎたシスコンになってしまっているシゾンを戻すにはどうしたら良いかという内容である。
だが……
「うーん、私としては正直放っておいて良いんじゃないかなって思うんだけど。
他所の家庭の事情だし、そこまで踏み込む事じゃないと思うんだけど」
「私も同意見だな。
ただ、腑抜けておると感じるのであれば叩き直す分には文句はないが」
「仲が良いのがそんなに悪い事なのでしょうか?
あの2人が仲良くしているのを見ると心が温まってくる感じがして好きなのですが」
と、3人は割とこの議題に否定的であった、
「確かに他所の家庭の事情です。
しかし、限度というものが……」
「確かにベッタリはしてるけど、授業は真面目に受けてるし、ダンジョンでもミスは無いんでしょ?」
「先程も言ったが、これで学業にまで影響が出るなら困る。
だが、オンとオフを切り替えているのであれば問題ないだろう」
「う……確かに一理ありますが……」
全員から正論を叩きつけられて狼狽えるメローヌ。
そんな彼女の心中を察しているファモが大きなため息を吐いた。
「はぁ……結局さ、メローヌは寂しいんでしょ?
一番のお友達と思ってたシゾンをクレアさんに取られて」
「はぁ!?」
「え、どういうことですか!?」
ファモが放った爆弾発言にエルフ2人が驚く中で、その爆弾をぶつけられた張本人は図星なのか顔を真っ赤にしていた。
「メローヌってさ、昔からこういう性格だったから友達はいても対等に横に立てる友人っていなかったんだよ。
だけど、シゾンは違ってメローヌと共に競い合って高める事が出来る最高の友人だと思ってたんだよね」
「そ……そうですわよ!
シゾンさんは私の一番のお友達だと思っていますに。
だからこそ、あのような腑抜けた姿が許せないのです!!」
ファモが心中を全て代弁してしまった為、顔を真っ赤にしたメローヌは感情を爆発させたように叫びながら気持ちを吐露した。
「素直に寂しいって言えばいいのに」
「うるさいですわよ!」
そんな言い合いをする2人を片方は温かな目で、もう片方はニヤニヤと楽しむように見ていた。
「なるほど、なるほど。
そういう事ならば……」
「私たちが協力するのもやぶさかではありませんね」