不足を補う案
同じく戻っていたBチームと合流し、その日の清算を終えてから食堂で今後の話し合いをすることになった。
「そっちは14階層までいけたんだ」
「ファモが罠を全部処理してくれたおかげでやり易かったな」
情報の擦り合わせをした結果、やはりレンジャーであるファモの功績の大きさが話題となる。
「足りないのはレンジャーだよね。
何処かから連れてくるか、誰かがその授業を受けて覚えるかだけど……余裕ある人いる?」
シゾンの提案に皆が首を振る。
新たなクラスの習得は時間がかかる上に罠の取り扱いとなるとある程度の習熟が必要だ。
今すぐに必要な6人にこの選択は現実的では無かった。
「誰か誘ってみますか?
今ならレンジャーの1人や2人簡単に誘えるとは思いますが」
「でも、それって下心ありな感じだよね。
パーティ内で恋愛事なんて絶対に揉めるよ」
メローヌの出した案もファモに却下される。
メローヌとしても一応案を出しただけで本気では無かった。
何せ彼女達は現在も好奇の視線に晒されており、その視線の先はもっぱらクレアに向かっていたからである。
その肝心のクレアは無邪気にプリンをパクついては周囲をも蕩けさせる笑顔を見せているわけだが。
「そもそもだが、そんな輩が来たら全部シゾンが追い返してしまうだろう」
「当然!
お姉ちゃんはぽやっとしてて危ないからそんな連中叩き出して追い返すよ!!
お姉ちゃんは私が守る!!!!」
力いっぱいに宣言するシゾンを見てクレアが屈託のない笑顔を見せながらパチパチと拍手を送る。
「まぁ、それはそれで素晴らしいんですけど……実際どうします?
ファモさんをチームで交代して進みます?
その場合は4:2で2のチームは浅い階で修練に励むとか」
「悪くないけど探索スピードは確実に落ちるよね。
……そう言えば購買でゴーレム借りれるとか言ってなかったっけ?」
シゾンとクレアを無視する形で話を続けたメローヌであるが、シゾンは直ぐに我へと返って話に加わった。
「そう言えばそんな話があったな。
クラス毎の技能を収めたゴーレムを貸し出してくれるという話だったと思う」
「それでレンジャーとソーサラーのゴーレムを頼めば不足分を補えますかね?」
シゾンの案にエルフ組も賛成の色を示す。
ヨーデル姉妹もそれが一番現実的な案という事で話は落ち着き、次回の探索の時に試しに借りてみようという事になったのであった。