組み分け
「シゾン達は6人グループだから人数足りなだろ?
良ければ……」
「気持ちはありがたいけどごめんね。
暫くは試行錯誤してやっていきたいんだ」
本日何回目になるか分からないお断りの返事をするシゾン。
本当に親切心から言っているのであれば良いが、全員の目がクレアが目的ですと物語っている事から、シゾンのガードはより堅固なものとなっていた。
「クレアさんの性格が変わってもお姉ちゃんにベッタリなのは変わらないかぁ」
「シスコンもあそこまでいくと執念を感じますわね」
寄ってくる男子生徒を追い払っていく様子を見て、ヨーデル姉妹は呆れたようにため息をつく。
「気持ちは分かりますけどね」
「オヴァーニは兄がおるからのう。
そう言えばこの間キンハーの近くに女子学生が……」
「その話、詳しく聞かせてもらっても良いかな……デアンちゃん」
「……ここにはブラコンがおったか」
そんな騒動を乗り越えながらもやってきたダンジョン開放日。
13層より先に挑む事になったシゾン達であるが、今のところはパーティを3:3に分ける事になった。
「私達って前衛2人、中衛3人、後衛1人の組み合わせだから意外と何とかなりそうだよね」
役割が被るシゾンとメローヌ、クレアとデアンがそれぞれ別れるのが確定している為、オヴァーニとファモも強制的に別々に分かれる事になる。
クレアが受けた性格改変の影響を心配したシゾンが組みたがっていたので、そこにオヴァーニを加えたAチーム。
残ったメローヌ、ファモ、デアンのBチームを結成して探索へと臨む。
「ふむ、3:3のパーティならば問題は無いな。
もし戦力に不安があるならば購買部でゴーレムを雇うのも良いだろう。
ゴーレムはクラス毎に準備されているから必要ならば連れていきなさい」
入り口を管理するマリア先生からアドバイスをもらったが、とりあえずはこのメンバーで探索する事にしてダンジョン内へと入っていく。
ロックがかかっていて入れなかった13階。
そこは今までの陰鬱なダンジョンと違い、木々に覆われたジャングルのようなエリアであった。
生い茂る樹木が壁や天井となって道を形成している。
「よし、2年生初めてのダンジョン頑張っていこう!」
「うふふ、頑張りましょうね」
「精一杯頑張らせてもらいます」
シゾンの号令にクレアとオヴァーニが声を上げる。
いつもならばクレアがリーダーシップを発揮していたのだが、性格が変わって大人しくなってしまった為にシゾンがその代わりを請け負う事にしたのだ。
こうして、人数の変更に加えてクレアの影響と不安定な要素を抱えながらも3人は出発していくのであった。