様子のおかしいクレア
「お姉ちゃん!起きて、お姉ちゃん!!」
「ううん……もう、シゾン、どうしたのよ」
ここはクレアとシゾンの自室。
部屋の中で眠っていたクレアはシゾンに叩き起こされて目を覚ました。
「どうしたのじゃ無いよ!
イズちゃんからお姉ちゃんが居なくなったって聞いて、慌てて戻ってきたら部屋の中で寝てるし!」
「え、あれ、そうだったかしら。
卒業試験はちゃんと終わったの?」
「うん、ちゃんと終わって……って、あれ?
お姉ちゃん、なんか変……」
「変ってちょっと失礼じゃないの。
確かに卒業試験が始まってからの記憶が無いのはおかしいけど……お姉ちゃんはいつも通りです!」
「いや、やっぱり変だよ!
いつもの何何なのじゃって口調はどうしたの?
それに自分のことをお姉ちゃんなんて言ったこと無いでしょ!?」
「何言ってるのよシゾン。
私はシゾンのお姉ちゃんなんだからそう言うのは不思議じゃないでしょ。
それにこんな若い子を捕まえてお爺ちゃんみたいな口調で喋ってたなんて、そんな変な事言うもんじゃないわ」
「ちょっ、ちょっと待って!
今イズちゃんとエリー先生連れてくるから!!」
そう言ってシゾンは慌てて部屋から出て行った。
「何あれ……変なシゾン」
部屋から窓の外を眺めると日が暮れて辺りを夕焼け色に染めていた。
「昼間の記憶がないのは確かにおかしいけど、それだけでここまで騒ぐことないじゃない」
そうしてぼんやりと外を眺めていると、突然扉が乱暴に開かれた。
「お姉ちゃん、連れてきたよ!」
「私は平気だって言ってるのに……イズちゃんもエリー先生もこんな所まで来てもらってごめんないね」
クレアとしてはシゾンの我儘でここに付き合わされた2人に普通に謝罪の言葉を述べたつもりであった。
しかし、その言葉を聞いたエリーは目を丸くし、イズは深々とため息をついた。
「ね、お姉ちゃんへんでしょ!?」
「え、あれ?
ししょ……じゃないわね。
本当にクレアちゃんなの?」
慌てる2人をよそにイズは冷静に鑑定をクレアに施した。
そうして出てきたステータスの一文を、普段無表情なイズとしては珍しく、心底嫌そうな顔で読んでいた。
「はぁ……やっぱり。
付いてましたよ、あのステータス異常」
「嘘でしょ……まさかこうなってる原因って……」
「え、お姉ちゃん一体どうしたんですか?」
「落ち着いて聞いてください。
クレアさんには僕や先生と同じ、女神の加護が付いてしまっています」