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クレーズは眠る

2023/08/29 誤字報告受け付けました。

いつもありがとうございます。

「う……ううむ……」


薄暗い部屋の中でクレアは意識を取り戻す。


どうやら落下の衝撃で気絶していたようである。


「ここは何処じゃ?」


「あら、目が覚めたのね」


全体的に暗い部屋の中であったが、一箇所だけ光に包まれた場所があった。


そこには人間の女性と思わしき人物が椅子に座ってクレアの方を見ていた。


まだ朦朧とする意識の中でクレアは声のした方向を見る。


まだ視界が歪んでいる為にクレアにはそこに何かがいるとしか認識は出来ない。


それでも彼女は何とか視認しようと目を細める。


「そんな可愛い顔で可愛い反応されたら困っちゃうわね。

安心しなさい。

暫くすれば動けるようになるし、貴女の友人も無事。

尤も、報告に行ったところでお孫さんにたっぷりと怒られてるみたいだけど」


「お主……全部知っておるのか?」


「勿論、この学園の事もダンジョンのことも。

貴女がお爺ちゃんからハイエルフの女の子になっちゃった事まで全部知ってるわよ」


クレアからは見えていないのだが、その声色から女性は楽しそうに話している事が分かる。


まるで今日この日を待っていたかのようであった。


「そこまで事情に精通しているとは一体何者じゃ?」


「それにはまだ答えられないわ。

もし貴女が……いえ、その身体の持ち主がここに辿り着く事が出来たなら教えてあげるわ」


そこで女性は椅子から立ち上がる。


少しずつクレアへと近付いていく。


「何をするつもりじゃ?」


「貴女から少しだけ奪って、少しだけ贈り物をしてあげる。

このままだと面白くも何とも無いんだもの」


女性はそう言ってクレアの顔を覗き込む。


「お主は!?」


その顔はクレアがよく知っていたもので、常に平静を保っていたクレアにしては珍しく動揺していた。


「私の姿はあって無いようなもの。

人は私に見たい姿を重ねるの。

例えば……貴女の亡くなった奥さんの姿、とか」


「一体何を……」


「お休みなさい、クレーズ」


そう言って女性は顔を近づけてクレアに口付けをする。


その瞬間にクレアの意識は再び深い闇の中へと沈んでいった。

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