汎用スキルと固有スキル
先程の巨大な蜥蜴の魔物に加えて、トロールやハイオーガなどの巨大で討伐難易度が非常に高い魔物が襲いかかってくるのだが、ナグモとクレアは2人でそれらの敵を一掃していく。
「もうお主は卒業でいいんじゃないか?」
「いやいや、孫娘の成長を見守っていくつもりじゃからまだまだ学園生活を楽しませてもらうつもりじゃよ」
「2度目の人生謳歌してるのう。
まぁ、ワシも久しぶりに孫に会えてハッスルしておるからその気持ちは分かるがな」
「それにしてもナグモ殿の引きつけるスキルは凄いのう。
お陰で魔力全開にして戦えておるわい」
現在のクレアはクラリッサが操っていた時と同じように、自身の中に眠る魔力を全開にして戦っている。
これだけの力を溢れさせていると、魔物達はクレアの方を集中的に攻撃してきてもおかしくない。
だが、ナグモのスキルの効果のお陰で彼女をターゲットにする魔物はおらず、その全てがナグモを対象にして攻撃を仕掛けてきていた。
「仕事がら荷物を守る必要があったからのう。
必要に応じて生まれたスキルというのは強力になりやすいものよ」
クレア達が使うスキルや魔法は、既に一般的に広まっており学園でも学ぶことが出来るし、ギルドでも教えている。
通常はクラススキルと武器スキルの2種に分かれるのだが、ここに少数だが固有スキルというものを習得するものがいた。
固有スキルはテッドも持っていたが、その人物にしか扱いないスキルである。
テッドのように先天的に持っているものとナグモのように後天的に習得するものがある。
そのいずれもが強力であり、唯一無二と呼ばれる性能を博していた。
因みにイズの使う鑑定のスキルも先天的に獲得していたものである。
「ワシは昔から真正面から戦っていたせいか、そのようなスキルは覚えなかったのう」
「いや、巫女に関するスキルは全部唯一無二のものであろうよ。
それに扇でそこまで火力を出すやつなどおらんぞ」
「前とは真逆の存在になったからのう。
そう考えると全く違う戦闘スタイルになった今の状態も楽しめ……」
ふと感じる浮遊感。
下を見ると足元の床が無くなっていた。
「クレア!?」
「ぬおおおおおお!!!!」
いつの間にか抜けていた床のトラップによりクレアは真っ逆様に下に落ちていく。
上を見上げると必死に手を伸ばしながらクレアの名前を叫ぶナグモの姿が遠くなっていくのであった。