新調された装備
クレア達が戻ってくるのとほぼ同じタイミングでファモとメローヌの姉妹が戻ってくる」
「おつかれ〜!
あれ、彼方新しくした?
桜の模様が似合ってるね」
「シゾンさんは盾が大型に変わりましたね」
早速二人の変化に気付いた双子であったが、メローヌは大剣が、ファモは胸当てが一段階上の物へと変わっていた。
「ゴール前に置いてあった宝箱に入っておってな。
お主らもそうではないのか?」
「ええ、その通りですわ」
「じゃあ、やっぱりご褒美って事なのかな?」
そんな話をしていたらエルフ組の2人もエレベーターでロビーへと戻ってきた。
「すいません、遅くなってしまったみたいで」
「私達が1番浅い層だったのにすまんな」
「組み合わせ的に1番バランスが悪いのじゃから仕方なかろうて。
しかし、行くときに比べて随分と……」
2人に分かれた時は重たい空気が流れているように感じたのだが、今は随分と柔らかい空気が流れているような気がする。
「まぁ、オヴァーニの奴には随分としてやられたからのう」
「それ、デアンちゃんが言う?
……って、感じなんでもう心配いりません。
気を遣わせたみたいで申し訳ありません」
「だってさ、お姉ちゃんの心遣い見透かされてるよ」
「全く…‥クレアさんの慧眼には驚かされますわ」
「さっすがクレアちゃんだよね」
「う、うむ……まさに計算通りじゃ」
本来であれば後列同士で組む事など選択肢には入りはしない。
そもそも、このチームは前衛と後衛のバランスがキチンと取れているのだから。
それでもクレアが2人を組ませたのはギクシャクした空気感を感じ取っていたからで、この荒療治で何とかなればいいかと思ったのである。
結果的には大成功で終わった訳だが、クレア自身もここまで上手くいくとは思っておらず、仮に上手くいかなくても別でカバーすれば良い程度の認識だったのは秘密にしておこうとの心に誓ったのであった。
「所でお主達も装備が幾つか新調されておるのう」
「そうだな、私の方は多少は近接も出来るようになったかと思う」
そう語るデアンの手には杖ではなく金属製のメイスが握られていた。
「私はこの腕輪を……魔法の伝達率が高いので杖がなくても魔法が使えますし、合わせればより威力が上がると思います」
ソーサラーは自身の魔力を物理的な力に変換する必要がある。
その変換効率は持っている武器により変わり、素手の場合は恐ろしく効率が悪いのだ。
その為に杖が必需品であるのだが、オヴァーニの腕輪はそれ自体が杖と同等の役割をこなしつつ、杖の補助も出来るという優れ物であった。
こうしてさまざまなご褒美を手に入れたい彼女達の前に……
「ああ、みなさん終わっていたのですね。
見回りお疲れ様でした」
仕事を終えたイズが現れたのであった。