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変異種

「さて、それでは行くとするかのう」


「お姉ちゃん、今日は扇じゃないんだね」


「折角ナグモ殿に習っておるのじゃから試しに使いたくなってのう。

背丈も振るうに足りる程度には伸びたから使ってみたくてな」


そう言うクレアの腰には日本の刀が差してあった。


「巫女服っていう和装のせいか刀を付けてるだけで格好いいよね」


「このように腰の帯を使っているのを差すと言うらしいぞ。

紐で吊るして固定するときは佩くという言い方をするらしいのう」


「へぇ、付け方で色々と名前が変わるんだね」


そうしてのんびり話していると通路の奥からこちらに向かって駆けてくる音が聞こえる。


「分かりやすくて良いのう」


「これはフォレストウルフだよね」


この階層で駆けてくる魔物といえば一種類だけ、犬型の魔物であるフォレストウルフしかいない。


その名の通りに森によく現れる魔物なのだが、ダンジョンの中ではあまり関係ないらしい。


「むむむ……上に何か乗っておるのう。

恐らくはゴブリンライダータイプのようじゃな」


「この階層にそんなのいたっけ?」


「これが魔物を間引きしなければいけない理由かもしれぬな」


ゴブリンライダーは魔獣型の魔物に騎乗して襲ってくるゴブリンの総称である。


騎乗している魔獣のスピードを得た事による機動力から討伐難易度はゴブリンよりも遥かに高い……そして、勘違いされがちだが、魔獣に乗っているから強いのではない。


魔獣を制圧して御し切れる程度の強さを持っていると言う事……つまり、ゴブリンライダーの時点で有象無象のゴブリンよりも遥かに実力が上なのである。


廊下の奥から駆けてくる足音は3頭分……しかし、その全てにゴブリンライダーがいる事を考えると倍の数という事になる。


どう迎え打つかと考えた時であった……先の方から一本の矢が飛んでくる。


「くっ……騎乗しながらこれだけ正確な矢を撃ってくるなんて手強そうだね」


シゾンは左手に装備したバックラーで殴るようにして矢を弾き返す。


その行動に合わせたのか、ちょうど良いタイミングでクレア達の元に辿り着いたゴブリンライダー達。


シゾンの隙を見逃さずに、そのうちの一匹のフォレストウルフが下から、上に乗っていたライダーがウルフの背を蹴って上から襲いかかる。


上から飛んできたゴブリンの剣を右手の剣で受け止めるシゾン。


フォレストウルフの攻撃は喰らう覚悟だったシゾン。


そんな彼女をカバーしたのは他ならぬクレアであった。


彼女はウルフの低さに対抗するように前のめりになって身を屈め、飛びかかってきたその時、クレアの刀が一閃してウルフの牙を切り裂いた。


「今のワシにお主を一刀両断するような筋力は無いからのう。

先ずは攻めの手段を奪わせてもらったよ」


牙が無くなった事に気が付かずシゾンに噛み付くも、牙無しでは防具の硬さを上回る事が出来ない。


「お姉ちゃん、ナイスカバー!」


「やれやれ、中々に難儀しそうな相手じゃな」


シゾンに攻撃を阻まれたゴブリンはウルフの上に落下して再び騎乗する。


その後ろからは遅れて2組のゴブリンライダーが合流し、クレア達と対峙するのであった。

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