制限時間による帰還
週末ですが調整の為に今日は一話更新です。
一番最初にダンジョンから脱出したクレアとメローヌ。
今後はこの6人で一つのチームを作っていく関係上、戦利品を共有化するという話になっていたので他のメンバーの帰りを入り口で待っていた。
「ありゃ、私たちが一番最初かと思ったけど2人とも早かったね」
「ぼちぼち良い稼ぎになったからのう」
「お二人の進行状況はどうでしたか?」
「ファモさんがとても頼りになりまして。
何とか三階層まで行くことが出来ましたよ」
「それをいうならオヴァーニだって頼りになったよ!
本当にやりやすかったんだから」
「何と、1日で二階層踏破とは中々にやりおるのう。
……それにしても」
クレアが辺りを見渡すが未だにシゾンとデアンの姿を確認することはできない。
祖父の贔屓目に見てもシゾンは優秀であり、クラリッサのエナジードレインの効果で弱体化しているとは言え、デアンもまた優秀なエルフである筈だ。
それこそファモとオヴァーニのコンビの記録を抜いて三階層まで到達していて脱出していてもおかしく無いのであるが……脱出してくる生徒達の中に彼女等の姿はない。
遂にはタイムリミット……その時間を過ぎるとダンジョン全体に強制的に退出の魔法がかかり、強制退去されられる時間になってしまった。
最後まで頑張っていたパーティが転移魔法によりポツポツと現れ始める。
中にはソロで活動していたテッドの姿も見つける事が出来た。
そして……目的である二人も姿を見付けることが出来た。
「遅くなり申し訳ない」
そう言って頭を下げるデアンの隣ではシゾンがバツが悪そうに顔を背けていた。
「制限時間まで粘ることは悪いことではないであろう。
それよりも何かあったのかではないか?」
空気の悪さを察したクレアから話を進める。
「あ、あの……」
「私が油断して倒れてしまった。
シゾンはその間ずっと私のことを守ってくれていたのだ」
「えっ!?」
突然のデアンの言葉にシゾンは目を見開いて驚く。
「そうだったんですね。
今日は上手くいかなかったかもしれませんが、気にせず……」
「違う、そうじゃないよ!」
デアンの言葉に探索が上手くいかなかった事を悟ったメローヌが慰めの言葉をかけようとする。
しかし、シゾンがその声を遮り、大きな声で否定したのであった。