組み分け
二学期が始まってから2週間が経過し、転入生であるオヴァーニとデアンにもダンジョン探索の許可が降りた。
本来であれば2人でペアを組めば良いのだろうが、
「私はソーサラー適正ですね」
「私はプリースト適正だな」
と、見事に後衛よりの適正だったため、2人で組むのはバランスが悪かった。
そこでクレアとシゾン、ファモとメローヌも含めた6人でシャッフルすることにしたのである。
「妾達はそれなりに進んでおるから良いが、お主達まで付き合ってもらっていいのかのう?」
「私達もクレアさん達に助けてもらって上位にいますから。
今度はその恩返しをする番ですわ」
「そうそう、困ってる時はお互い様だよ」
組み分けとして前衛がシゾン、メローヌ、ファモ。
後衛はクレア、オヴァーニ、デアン。
エルフ組からは初日に当たる今日の組み合わせは、クレアとメローヌ。
ファモとオヴァーニ、シゾンとデアンの3組に分かれる事となった。
「それでは行くとするかのう」
クレアの号令により3組が其々の順番で進んでいく。
クレアとメローヌはエレベーターで途中から進むことにしたのだが、夏休み明けの慣らしという事もあり、三層から進む事にした。
「おっと、先にバフをかけておくとするかのう」
ダンジョン突入後にクレアがそう言って舞う。
「これがクレアさんの固有スキルですか。
今なら何にでも勝てそうですわ」
「パワーアップはしておるし、この階層なら問題ないじゃろうが……油断はせぬようにのう」
「勿論ですわ」
シゾンと組んだ時は暴走気味に突き進んでいたメローヌであるが、流石にクレアとのコンビでは自重し、落ち着いていた。
一方でファモとオヴァーニのコンビはというと……
「オヴァーニさん、先の通路にコボルトが二匹いる。
片方は私が弓で倒すから、気付いて近づいてきたら魔法をお願いしていい?」
「ええ、勿論です」
「よし、行くよ!」
オヴァーニには見えないコボルトをしっかりと視認しているファモの弓がその眉間を貫く。
隣にいたコボルトが遅れて反応し、矢の飛んできた方向へと駆け出していく。
「オヴァーニさん、来たよ!」
「ええ、私にも見えています。
マジック・アロー!」
オヴァーニが生み出した魔力の矢が3本、こちらに向かってくるコボルトに直撃する。
3本の矢が身体に突き刺さったコボルトは前のめりに倒れて絶命したのであった。
「やった〜オヴァーニさん、ナイス!」
「ファモさんこそ素晴らしい索敵です!」
お互いにハイタッチして固く握手する2人。
このコンビも問題なく、寧ろいい感じに回っているのであった。