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相乗効果

「向かいにライバル店を出店されて怒ってはおらぬのか?」


「いや、お互いに飲食店とはいえ、飯を食う店と甘味を食う店じゃジャンルが違うからな。

寧ろ人気店が並んでるって理由から、この地域に人が集まって活性化してるくらいさ」


店主の話を詳しく聞くと、人気の店が並んだ事の相乗効果によりこの地域に人が集まってきているそうだ。


その人達は街の住人や学生だけでなく、遠くから旅をしてきた人もいるらしい。


そうなると治安が悪化しそうなものであるが、比較的冒険者ギルドに近い事と、カリー屋にアンデルスト家の家紋が入っている事でほぼ揉め事は起きないらしい。


偶に起きる事があってもカプスとイリスの2人が騒動を治めてしまう為、寧ろカリー屋が出来る前よりも治安が良くなったのだそうだ。


「そう言った意味で俺を含めたこの界隈の人間は、あの店の主人であるアンデルスト家に深く感謝しているんだ」


「そうだったんじゃな。

商売の事はサッパリじゃが役に立てたなら良かったわい」


「ジャンルは違うがあれだけすごい料理を作る料理人が目の前にいるってのも燃えるもんがあるしな。

商売人としても料理人としてもあの店が出来て良いことしかねぇ。

だから安心してくれや。

おっと、もうそろそろ戻らねぇと……邪魔したな」


店主はそう言って再び奥へと引っ込んでいった。


「どうやら邪魔はしておらぬようで安心したのう」


「このお店が潰れたらお姉ちゃん困っちゃうもんね」


「それはシゾンも同じじゃろう?」


「いや、私は残念だなとは思うけどそこまでは……」


「む、むぅ……」


シゾンの思わぬ発言に唇を尖らせるクレア。


「ふふ、安心してくださいクレアさん。

このお店が無くなったら私達は困ってしまいますから」


「あ、ああ、そうだよ。

こんな美味しいスイーツが食べられなくなったら残念過ぎるから」


「そうじゃよな!

お主達もこの店が無くなったら困ってしまうのじゃな」


そんな空気を察したヨーデル姉妹が慌ててフォローに入り、喜んでそのフォローに飛びつくクレア。


更に近くでは……


「デアンさん!

この黒いクリームも苦くて甘くて凄いです!

ニガアマって感じです!!」


「外の世界にはこんなに美味しい物があるなんて……って、さっきからうるさいわね!

オヴァーニ、貴女同じことを繰り返してるだけじゃない。

もう少し言葉を勉強しなさい!」


「こんなに心が震えるてたら言葉なんてポンポン出てきませんよ!

凄いものは凄いんです!!」


と、正気に戻ったデアンとオヴァーニが騒がしくも楽しそうにしていた。


こうして二学期初日の午後の時間ですっかり打ち解けたエルフ組と共に学園へと帰還するのであった。

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