呪い返し
5-2です
「私の家は古物商を生業としていたんです。
幼い頃から様々な真贋を見てきました。
そのおかげであるスキルが身につきました……鑑定のEXが」
「なんと……若くしてEX付きのスキルを持っていたとは」
スキルにはレベルのあるものがあり、数字が高いほど高威力になっていく……のだが、稀に才能からEXとなるものがある。
これはその世界で最高の能力を持ち、数字では絶対に超えられない壁となっていた。
「私はそのスキルを使って色んなものを鑑定して家の役に立ってきました。
そして、いつしか人に対しても鑑定を使うようになってしまったんです」
「主人……それは……」
「ええ、人にスキルを向けるのは本来禁止されていることです……攻撃とみなされますからね。
しかし、EX付きの私の鑑定スキルは相手に気付かせる事がなくバレる事は無かったんです……1人を除いて」
「その1人とはもしや……」
ナハトがそう言いながらエリーの方を向くと、彼女は肯定するように頷いた。
「イズちゃんは新入生だったの。
確かお家の仕事で行商する力を付ける為に……だったわよね?」
「そうです。
私の家では祖父があちこちを行商しつつ珍しい物を手に入れ、私が鑑定して本物は父が経営する店舗に販売するというスタイルだったんです。
でも、祖父も年なので一緒に旅して、ゆくゆくはその販路を受け継げればと考えて入学しました」
「話を聞けば立派な志であるな」
「でも、私は間違いを犯してしまったんです。
この学園で最も賑わう場所である保健室。
その部屋の主人に鑑定スキルを発動してしまったんです。
そして、今のこの姿になりました」
「そうか……その時に……うん?
何か話が飛ばなかったかの?」
「そんな事は無いですよ。
先生に鑑定スキルを使う。
私が今の姿になる……うん、記憶を辿っても間違いはありませんね」
今までは順を追って分かりやすく説明されていたのに、急に雑な説明になり、理解できないという顔をするナハト。
そんなナハトにエリーが助け舟を出した。
「ナハトちゃんは呪い返しってスキルを知ってる?」
「確か相手に対して今自分がかかっているデバフや状態異常を返す、自動で発動するスキルじゃな」
「そう……イズちゃんの鑑定を攻撃と認識した私の呪い返しが発動してしまったのよ。
そして、返したデバフは女神の祝福だったのよ」