人生これから
その後はエリーによる転入生2人の紹介があり、初日は始業式ということもあって午前中に学校が終了する。
「クレアさん、折角ですから街に行きませんか?」
「転入生の2人にも街を案内してあげようよ」
自由になったところでヨーデル姉妹がやってきてクレア達を街へと誘う。
「学園内の案内ならいつでも出来るからのう。
先に街へ行くとするかのう」
「2人もそれでいいかな?」
「もちろんです。
その誘いありがたく受けさせていただきます」
「ああ、ありがたく受けさせてもらおう」
シゾンの問いかけにオヴァーニとデアンも頷き、6人の大所帯で街へ移動する事になった。
「そう言えば夏休みの間に新しいお店が出来てとても評判を呼んでいるらしいのですよ」
「そうそう!
それもムーンホースカフェのすぐ近くに出来たんだって!
すごく美味しい料理出すらしいから、そこでランチにして、街を回ったらムーンホースカフェで締めるプランでどうかな?」
「あ、いいねそれ!
そのプランで行こうよ」
「久しぶりだから楽しみですわ」
前の方でキャッキャッと騒ぐ3人を後ろから眺めるエルフ3人組。
「若い……私にはあの感性について行くことは出来んな」
「そうですかね?
なんだか楽しそうですけど」
「お主はまだ180歳程度の若者だからな。
私は既に齢500を過ぎたババアだぞ」
「でも、見た目から言うと140歳ぐらいになってますよ。
今の姿なら大丈夫ですよ」
「そのような話では……」
「ぷっ、あっはっはっ」
オヴァーニとデアンの会話に思わずクレアが笑い声を上げる。
「な、何かおかしかっただろうか?」
「いや、何……ワシなどは80年で十分に生きたと思っておったが。
この身体になってお主達の話を聞いておったらまだまだ若輩者じゃったと実感しただけじゃよ」
「そう言えばクレアさんは人間からハイエルフに変わったと言う話でしたね。
人間の80年とエルフの80年では濃密さと言う点でかなり違うと思いますけど」
「そうかも知れぬが、そうではないかも知れぬ。
これからもう80年は生きて見ぬ事には結論は出せぬ話ではないか」
「そういう話を聞くと年齢で衰えを感じるのがバカらしくなってくるわね。
……仕方ない、私達も頑張ってあのノリについていけるようにするわよ」
「はい、デアンさん」
「うむうむ、人生まだまだこれからじゃて。
耄碌するに早すぎるわい」
こうして前の3人に追いついたエルフ組を加えて、評判の新しいお店へと向かったのであった。