里の未来
更新したつもりがされてませんでした。
申し訳ありません。
「大丈夫ですか、マタン様!?」
「神木に何があったのですか!?」
里のエルフ達が目を覚まして駆け付けたのはかなりの時間が経ってからであった。
遠くからも見る事ができ、直前までは輝いていた神木。
それが見えなくなっている事に気が付いたエルフ達は大挙して神殿に押しかけてきたのであった。
彼らが祭壇の間に飛び込んできた時に最初に見たのは神木に祈りを捧げる、里に来た数時間前と比べてあきらかに成長したクレアの姿であった。
その側を守るようにキンハーとオヴァーニに兄妹が、更に牢屋に入れたはずの人間達がいたのであった。
彼らが押し寄せてきた事に気付いた巫女が立ち上がってこちらを見る。
その神々しさとカリスマ性はマタンの比ではなく、エルフ達は思わず平伏してしまった。
「巫女様、恐れながらここで何があったのかお聞かせ願えないでしょうか?」
里の中でマタンと並んでエルフ達の信頼厚い長老と呼ばれる人物が尋ねる。
その問いに答えようとクレアが前に出るのをキンハーが片手で制した。
「その件については自分から説明します。
先程この神木は賊の襲撃を受けました。
犯人は外の世界では伝説になっている悪霊です。
長い年月を経て神をも凌駕する伝説の魔物に神木が目をつけられてしまったのです」
普段の独特の喋り方をやめて丁寧な言葉でわ語るオヴァーニ。
その雰囲気の違いにエルフ達は余計な口を突っ込めなくなっていた。
「それでその後は一体どうなったのでしょう。
マタン様は一体何処に?」
唯一、エルフの代表として長老が話を進めていく。
「そこからは私が話しましょう。
マタン様はお亡くなりなられました。
悪霊を何とか追い払ったのですが、悪霊は最後に神木に呪いをかけていったのです。
あわや神木が枯れ果ててしまうというところで彼女は自身の力の殆どを神木に……そして、巫女様に託していったのです」
「つまり、巫女様が急に成長なされたのも……」
「ええ、それが理由です。
後の事を巫女様に託されたマタン様はとても立派な最後でありました」
「そう……ですか……それで、これからこの里はどうしたら……」
「その事については巫女様から提案がございます。
ささ、ここからは巫女様が直接お話しください」
「う。うむ……皆の者よく聞くのじゃ。
神木の力が微々たるものになってしまい結界を保てなくなってしまったこの里は否が応にも変わらねばならぬ。
そこでワシの連れてきた者達も連れてきて里の立て直しを図ろうと思うのじゃ」
こうしてクレアはこの地に冒険者ギルドと阿良田商店の支店を建て、外の世界と関係を持つ事を提案する。
マタンが託したハイエルフの巫女の言葉。
突然の神木の若返りという状況にあって明確に記された里存続の道に対して異論を挙げる者はいなかった。