カリー屋さん
「いらっしゃい!
おっと、これはキンちゃんにナグモさんまで一緒とは珍しい組み合わせだね」
8人を出迎えてくれて店主は褐色の肌に頭に白いターバンを巻いている非常に変わった格好をしている人物であった。
「偶々知り合うキッカケがあったんですわ」
「うむ、今日は本業で来たわけではないのだ。
多少の持ち合わせはあるから融通は効かせられるが必要だろうか?」
「それは助かります。
それでは食事の後で……」
店主はそう言って8人をテーブルへと案内する。
「お二人はいつもの組み合わせで大丈夫ですか?」
「うむ、勿論それでお願いしたい」
「わいも問題ありまへんで。
姐さん達はどないします?」
「ワシらよく分からんからのう。
キンちゃん達に全て任せるとするかのう」
「それならワシらと同じ物を全部で8人前でいいな」
「はいはーい、すぐに出来るから待っててね」
そう言って店主が厨房へと戻り、オーダーされた料理を持ってテーブルへと並べていく。
「はい、こちらカリーとナンの8人前です。
ドリンクはラッシーね」
テーブルには茶色いスープと独特の形をしたパン、更に白い飲み物が置かれる。
料理が来たことで、先程から店内に漂っていた香りはこの茶色いスープが原因だということが分かった。
「何やら凄い匂いがするが……どれどれ」
クレアがスプーンを使い、カリーと呼ばれたスープを一口含む。
「ぬお!?な、なんじゃこれは……こんな味のスープは初めて飲むわい」
「美味しいの、お姉ちゃん」
「うむ、やや辛みがあるが何とも言えぬ味わいじゃ。
皆も食べてみるが良い」
クレアに促されて残りの5人も口に含んだ瞬間に目を大きく見開く。
「あと、そこにあるナンっていうパンをスープに浸すと美味いで」
「辛さに疲れてきたらこのラッシーを飲むと良かろう。
舌が休まってまた食べようという気になるぞ」
キンハーとナグモのアドバイスで6人は食事を進めていく。
この中で特にオヴァーニとイズの食欲は凄まじく、何杯もおかわりの皿が積み上がっていった。
「カプス姐さん、あの子めっちゃ食べますね。
姐さんは料理が上手いんだから、この辺りはアピールポイントになるじゃないですか?」
「な、な、な、な……手料理を振る舞うだなんてそんな大胆な事が出来たら苦労はしないよ」
「何処のおぼこですか!?
カプス姐さん言ってたじゃないですか。
自分の料理を美味しく食べてくれると嬉しいって。
絶好のアピールポイントですよ!」
「そ、そうかもしれないね。
うん、頑張って誘ってみるよ」
(姐さん……乙女すぎて最高に眩しいっすよ)
心の中でカプスの純真さにメロメロになりながらも、イリスは的確なアドバイスをするのであった。