エルフの里へ
「よし、それなら決まりじゃな!」
キンハーの話を聞き終わったクレア。
彼女はそう言って立ち上がると、近くにいたメイドに何やら指示を出し始めた。
「決まりって何が決まったんでっか?」
「決まっておるではないか。
エルフの里に向かうのじゃよ」
「本当ですか!?」
クレアの宣言にオヴァーニが驚きながらも立ち上がる。
「姐さん、本気でっか?」
「本気も本気、おおマジじゃよ。
じゃが、エルフの里に行くのに幾つか条件があるが良いじゃろうか?」
「巫女様に来ていただけるのであれば何でも!」
「うむ、先ずはワシだけではなく同行者の存在を認めて欲しいことじゃな。
これは絶対に譲れない条件じゃ」
「護衛は必要だと思いますので、こちらとしてもありがたい話です。
人数は何人程でしょうか?」
オヴァーニに問われたクレアは指を折って同行者の数を確認する。
「先ずは屋敷からはシゾンとカプス、後はイリスにも来てもらおうかのう。
後はナグモ殿とイズちゃんも本人たちが了承するなら来て欲しいのう。
それとキンちゃんは確定じゃな」
「わ、わいでっか!?
せやかて……」
「外の世界から人間がやってくるのであるからキンちゃんには好機ではないのか?
それにあちこちを行商しているナグモ殿の知見が得られれば更に風穴を空けられると思うんじゃがな」
「んんんんん……でも、里に戻るとなると………」
「兄上、私からもお願いします。
兄上が里を出てからどのように過ごしていたのか、お聞きしたいのです」
「兄妹のボタンの掛け違えを直すチャンスでもあると思うぞ」
「あ〜わかった、わかった。
姐さんにはホンマに敵わへんなぁ。
男キンハー、いっちょやったろやないかい」
唐突な旅への出発宣言であったが、旅に必要な道具などは使用人達があっという間に手配を済ませてしまう。
そして今回指名されたカプスとイリスもすぐに冒険者用の装備に着替えて出発用の馬車で待機していた。
一方でナグモとイズの方も話を振るとすぐに了解をくれた。
ナグモはエルフの里との交易のチャンスが生まれるかもしれないと喜び、イズはそんな祖父の護衛の為にと引き受ける。
そして最後に残ったシゾンであるが……
「お姉ちゃんが行くなら絶対に行く!!」
クレアの予想通りの答えが返ってきた。
こうして8人という大所帯でクレア達はエルフの里へと向かっていったのであった。
タイトル詐欺になりつつありますが、この話が終わったら学園に戻る予定です。