保健室の天使様
新連載、よろしくお願いします。
本日は一時間毎に3話まで上げる予定です。
暗く細い道を少女が歩く。
黒く長い髪をツインテールにし、この場には不釣り合いなバニーガールの格好をした少女。
誰が見ても愛くるしいと思える美貌を携えた、身長が150にも満たない小柄な少女。
だが、彼女はその見た目には不釣り合いな自身よりも大きなハンマーを肩に担いで鼻歌混じりに歩いていた。
「あれ?
イズちゃんじゃん。
この時間にここにいるって事はお仕事?」
通路の先から現れたのは2人組の男女。
その女性の方が親しげに少女に話しかけてくる。
「そうなのですよ。
もう少し先の方で救助要請を受けましたので。
お二人は順調ですか?」
「あ、えっと……ごめん!
毒消薬が少し足りない」
「仕方ないですね……実際の冒険ではこんな幸運起きませんからね」
イズと呼ばれた少女は鞄の中から毒消薬を取り出すと女性に手渡す。
「次からは気をつけるから……ほんとごめんね。
ほら、あんたもお礼言いなさいな」
「あ、その……ありがとう」
男の方は何処を見たら良いのか分からないと言った感じで視線を逸らしながらお礼を言う。
だが、その視線はチラチラとイズの小さな胸の辺りに吸い込まれていたのが分かる。
「男子の視線って意外と何処を見ているのか分かるものなんですよ」
「うっ……」
イズに指摘された男子は慌てて顔を違う所に背けた。
「ほんっとサイテーなんだから。
でも、イズちゃんの格好も……露出多いよね」
「不本意ですが、この防具はトラップの完全回避がつい……お二人とも伏せてください!」
突如叫んだイズの言葉通りにその場に伏せる2人。
そんな2人を庇うように前に出たイズの頭部を彼女よりも大きな棍棒が直撃した。
『イズちゃん!?』
「全く効いていないので大丈夫ですよ」
2人は悲鳴にも似た声をあげた……が、イズは平然とした顔で2人に声をかけると、担いでいたハンマーを構えて薙ぎ払うように目の前の魔物を打ちつけた。
その一撃で壁に叩きつけられた大柄な魔物は絶命して消滅する。
魔物が消えた後には黒いモヤで覆われた道具が残されていた。
「少々長話をしてしまいましたね。
先を急ぎますので、これで失礼します」
「あ……イズちゃん!
ドロップ品は!?」
「私は学園の生徒ではありませんので。
お二人に譲りますよ」
そう言ってスタスタと先に進んでいくイズの背中を見送る2人。
「流石は保健室の天使様。
可愛くて強いとか本当に憧れちゃう」
「ほんっと……可愛かったなぁ……」
「言っとくけど浮気は許さないからね……ま、アンタじゃ相手にすらされないでしょうけど」
「別にそんなつもりはねぇよ。
それに俺は保健室の女神様派の方だしな」
「……ほんっとサイテー」