アイリと琴葉
女の子、それも婚約者が同じ家にいるなんて、緊張する。
それはアイリも同じだったようで、学校とは違って、少しぎこちない。もちろんお互い11歳なのだけれど、少し意識してしまう。
母の愛乃も、父の透も、アイリを歓迎して親切にしたが、唯一不機嫌なのは琴葉だった。
「あ、あの……琴葉? そろそろ離れてくれない?」
「嫌です。家での玲音兄さんは、私のものなんですから」
「えーと」
その日の夜。琴葉はぎゅっと玲音と腕を組み、玲音の部屋にいた。
もう夜も遅い。九時だ。
琴葉も10歳になって少しだけ女の子らしくなったと思う。ただ、玲音からしてみれば、まだ幼い少女なのは変わりない。
琴葉は、アイリに対抗心を激しく燃やしているようだった。
もともとは形だけの婚約者だったはずなのに、玲音とアイリの関係が良好になるにつれて、琴葉は嫉妬心をむき出しにしていた。
「兄さんの家族は、お父さんとお母さんと、わたしだけで十分です」
「新城さんも、いずれ俺の家族になるから……」
「子供のときの結婚の約束なんて、大人になったときまで守られるとは思えません」
それは玲音も同感で、実のところ、愛乃たちもそう思っているのだろう。これは見神家と新城家が、現在のところ友好関係を持っている証にすぎない。
とはいえ、玲音とアイリが成長して、本当に恋仲になれば、また事情は違ってくるのだけれど。
琴葉はぷんすかという表情で頬を膨らませる。
「親同士の決めた婚約者なんて、ただの飾り。いえ、本物の恋人ですら、兄と妹という絆より深くはないでしょう……!」
「そ、そうかな……」
「私は玲音兄さんのこと、大好きですよ」
無邪気に琴葉が言い、玲音は恥ずかしくなった。
琴葉が玲音を大好きで、懐いてくれているのは嬉しいけれど、それでアイリにあたりがきつくなるのは困る。
実際、アイリはびくびくとしていた。
アイリが玲音の部屋にやってきたようで、控えめにノックをして、顔を覗かせる。ラフなTシャツの部屋着姿だけれど、とても可愛い。
けれど、アイリは琴葉を見て、逃げ出そうとした。
慌てて玲音はアイリを引き止める。
「に、逃げないでよ……」
「だ、だって、見神くんと妹さんの時間を邪魔したら悪いし……」
機嫌を伺うように、ちらっとアイリは琴葉を見る。
意外にも、琴葉は微笑んだ。
「いいですよ。私も新城さんとゆっくり話してみたかったですから」
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