488―最終決戦⑥・理性無き模倣体
よし!!
噛めるッッッ!!!
これで、おしま・・・ッッッ!?!?
あとちょっとで噛みつけるかといったところで、アクメルの頭がボコボコ音を出しながら生えてきた。
そしてあたしの真正面で絶空斬を撃ってきた。
「いっ・・・!!!」
ギリギリのところで躱して直撃は免れたけど、頭の左側が斜めにバッサリ斬られてずれ落ちた。
一回目は失敗か!!
だけど次が・・・!!
「ちょろちょろするトカゲは退治しないと。」
アクメルは踵を返してスドラに絶空斬を撃つ。
「ソル・ヴェナ危な・・・!!」
ソル・ヴェナはサイズを大きくすることでアクメルの一撃の面積を小さくしたけど、胸にどうやったって治せない大きな切り傷ができてしまった。
「胴体が真っ二つにならずに済んでよかったね。」
「人間如きが我に癒せぬ傷を・・・!!この代償は高く付くぞッッッ!!!」
距離をとったソル・ヴェナと入れ替わる形で、ヒューゴ君が前に出てきた。
「天級第五位・死の幻!!」
ヒューゴ君渾身の精神魔能がアクメルに直撃した。
「ミラ様ダメです!!この者私の魔能が完全には効いていませんッッッ!!!」
よく見るとアクメルはボーっとした顔で辺りをキョロキョロしてる。
マズい!!
早く首を落とさないとッッッ!!!
するとアクメルの足元まで影移動してきたトリシアが、下からアクメルの頭をもぎ取った。
「ミラ様!!今ですッッッ!!!」
っしぁ!2回目!!
今度こそ・・・!!!
だけどタイミングがまた少し遅れて、アクメルの再生を許してしまった。
「寄ってたかって首を刎ねるなんて、ひどいじゃないk・・・」
頭部が完全に再生しきる前に、ラリーちゃんが頭に加えて胴体を斬った。
「これなら生やすのに時間がかかんだろ!?やっちまえミラッッッ!!!」
「ありがとうッッッ!!!」
三度目の正直・・・。
次こそ、必ず・・・!!!
だけど次の瞬間、アクメルの上半身から絶空斬の波状攻撃が炸裂した。
あたしだけじゃなく、まだ近くにいたラリーちゃんの腕も落とされたけど、共醒状態のおかげで全回復で治すことができた。
その間に、アクメルは身体をくっつけて元通りに再生した。
クソ!!
どうやったって血を吸えないッッッ!!!
ラリーちゃんが共醒状態だったおかげで助かったけど、そうでない人に当たってたら確実に死んでた・・・。
早く決めないとこっちの身がもたなくなるッッッ!!!
三回も首を落とされて、さすがにアクメルもおかしいと思ったんだろう。
訝しんだ目でこっちを見てくる。
「お前ら・・・。何か企んでいるな?そうでもなきゃこんなにも間髪入れずに攻撃なんかしてこないだろ。」
ヤバい!!
このままじゃ作戦がバレる!!
ヒヤッとしたが、アクメルは「どうでもいい。」と言わんばかりの乾いた笑みをした。
「まぁ・・・いっか。どんな作戦を立ててるか知らないけど、多人数を相手にできるほど僕もそこまで器用じゃないしね。ミラ以外の奴らは、コイツ等に任せるとしよう。祖級第零位・肉授奪理。」
アクメルの周りに、ゴツくて目が赤く光った真っ黒い奴等が出てきた。
人数は・・・ちょうどあたし以外の全員分だ。
「理性と引き換えに身体能力が爆上げされて、更に本体と同レベルの魔能が扱える模倣体達だ。あっ、ちなみに、理性がないって言っても、ある程度は考えることはできるから頑張って♪」
他のみんなを睨みつけて、アクメルの分身たちは「フシュー!!」とか「グルルルルルルルルルル!!」といった獣のような荒い息や唸り声を吐いたり、出したりしていた。




