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【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
最終章:無双代行の結末
452/514

452―オルテストの戦い⑮・肉本の在り処

「スドラとエリガラード様達が異空間の中に!?異空間そのものが黎明の開手(ひらきて)!?」


(ああ。今アイツ等はそいつの魂がどこにあるか探し回っている。お前らには、奴の本体つまり、魂が封じ込められてる本を探してほしい。)


「でも・・・!!私と妹、そしてリセ様も、現在交戦中でして・・・。)


(リセ?冥王の一粒種なんかがどうして味方に付いてやがんだ?)


「色々、ありまして・・・。ともかく今の私達には、スドラ様達が閉じ込められている異空間の場所を突き止める余裕なんかとても・・・。」


(そうは言ってもこっちだっていつまで持つかどうか分からないだ。難しいことをやってほしいってことじゃねぇんだ。大体の位置さえ分かれば後のことは指示する。外にいるお前らだけが、頼みの綱なんだ!!)


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「分かりました。できるだけのことはやってみます!」


(ありがとよ。俺とお前の繋がりもそう長くはない。手短に指示すっから、それをやってみてくれ。目の前の敵に気付かれねぇようにな。)


「はい!」


(よし。じゃあ一つ目。俺の声を辿って、その発信元を探ってくれ。大まかで大丈夫だからな。)


「分かりました。」


トヴィリンは目を瞑って、ヴァリエルの記録の声の軌跡を逆行した。


ぼんやりとしているが、トヴィリンは集中力をフル活用した。


先天的に授かった先読みの神感(ゴッズ・フォーサイト)と、師匠であるルイギに叩き上げられ、後天的に獲得した鋭い勘を並列させながら・・・。


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「ッッッ!!!スドラ様のご友人様!!」


(おお!!こっちも感じたぜ。お前すごいな。大まかどころか、俺の気配をはっきり手繰ってドンピシャで当てやがった。)


「でも、まだ確定したワケでは・・・。」


(それをはっきりさせるために二つ目の手順だ。そこに攻撃を当ててみろ。)


「え?」


(今お前らが戦っている相手は、ルクイヴの本体を守る役目も任されるはずだ。かすりでもしたら、きっと慌てふためくだろうぜ?)


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「トリシア?」


「オッケー、姉貴。」


トリシアは右手をモーニングスターに変えて、()()()()()()()()()()()()()()場所へと振った。


すると突然、エンティが明らか動揺した様子で、トリシアの右手を斬り飛ばして攻撃を妨害した。


「ああっ!!!」


(まさか攻撃しようとしただけで反応しちまうとは・・・。どうやら相当オツムの低い奴のようだな。でもこれで、奴の本体の場所が分かったぜ?)


「はい!!」


(おっと。もう俺が開けた穴が塞ぎ始めてら。じゃあなトヴィリン。後のことは任せたぜ。)


「はい!!絶対スドラ様とエリガラード様達を助け出してみせますッッッ!!!」


(この時代にもこんな骨のある嬢ちゃんがいたとはね。人間もまだまだ捨てたモンじゃねぇな。)


「え・・・?」


その言葉の真理を聞く前に、ヴァリエルの記録との交信は途絶えた。


『「今のはどういうつもり?トヴィリン姉ちゃん。」』


「リセさん!!スドラ様達が閉じ込められた異空間の場所が分かりました!!オルテスト中央の塔、31階の北東の一室です!!そこにある本が異空間の正体で、もう一人の黎明の開手の本体ですッッッ!!!」


「何!?」


味方の位置を正確に割り出されたことで、エンティは年相応の子どものごとく、わなわな混乱する。


『「なんで・・・?なんでバレたの・・・?」』


イレギュラーであるヴァリエルの記録、トヴィリンの天性の才能、エンティの未熟ゆえの咄嗟の行動。


この三者が一つでも欠けていれば、おそらくこのような結果にはならなかったかもしれない。


しかし、勝負の天秤は人間の英雄ではなく吸血鬼の救世主に与する者達へと傾き、現世と異界、隔たれた二つの世界で勝利を勝ち取るための布陣がここに完成した。

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