438―空中城塞攻略⑤・蟻人
空中城塞の土台、軍蟻種の巣に突撃したあたし達に、文字通り巣を成しているアリ達は警戒心MAXだ。
とりま中に入ることはできた。
あとはキネウラがいるところの入口を見つけないと・・・。
おっ・・・!?
「フフン♪デカいだけで所詮はただの昆虫!!隠してんのバレバレなんだよ!!」
兵アリが密集して塊になってるトコを見つけた。
おそらくアレが・・・女王の部屋への入口ッッッ!!!
白丸と茶々助があたしとヒューゴ君を乗せたまま、兵アリの塊をバリバリ噛み砕く。
だけど向こうの身体が大きいせいで手こずって、顎で抵抗もしてくる。
しかもそれだけじゃなく・・・。
「ッッッ!!!ミラ様!!」
巣にいたアリや、内壁の役割をしていたアリが、四方八方からあたし達に飛び掛かってきた。
「ヤバっ!!クソッッッ!!!」
咄嗟にあたしは剣で自分の両腕を斬り落とした。
「ミラ様!?」
うっ・・・!!
痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
マズい・・・!!
意識飛ぶ・・・。
だけど・・・堪えなきゃ・・・!!!
「血操師・無限小剣弾射・・・!!」
斬り落とされたあたしの両腕の断面からクナイサイズの小さな剣が、ガトリングガンみたく発射されていく。
全回復オート発動も重ねがけして、血が足りなくなるの対策もした。
「ギッ・・・!!ギギギッ・・・!!」
「ガチッ・・・!!チチッ・・・。」
両腕からの一斉射撃を食らって、アリ達はどんどん木っ端微塵になっていく。
「ミラ様!!洞穴ですッッッ!!!」
やっぱり思った通りだ!!
兵アリ達の塊の奥に、直径2mくらいの穴が空いてる!!
「みんな!!飛び込むよッッッ!!!」
両腕を再生させるのを合図に、あたし達は兵アリ達が守っていた洞穴に突っ込んだ。
追手が来れないように、小さな爆発を起こして穴も塞いだ。
この向こうにキネウラが・・・。
いよいよご対面か・・・!!!
延々と続く洞穴を滑るように走り抜けて、ついにあたし達はキネウラがいる部屋へとたどり着いた。
ジメついて、壁や天井が穴だらけで、なんか煤けたニオイがむわんと立ち込めるイヤ~な空間だった。
「よくぞたどり着きましたね。❝救血の乙女・ミラ❞とその従者ヒューゴ。
上から声がしたから見上げると、アリでできた巨大なロフトみたいなのがあった。
そこから誰か飛び降りてきて、あたし達の前にズドンと降りてきた。
「あっ、アンタが・・・!!」
「如何にも。わたくしが空中城塞・ヒメールシタデルの管理者であり、アド様から母蟻雄の名を頂戴した、キネウラと申します。」
コイツがキネウラ・・・。
イスラルフさんの読み通り、やっぱりキイルと同じく人間に変えられてたか・・・。
ってかアレを人間って言っていいのか!?!?
眼は複眼で瞼ついてないし、身長は多分3m越え。
皮膚は赤茶色の外骨格で、髪も生えてない。
おまけにほっぺに大アゴがくっついてて、喋る度にパカパカ開くんですけどぉ!?!?
「どうぞ良しなに。」
ペコリとお辞儀して、アリ面でニヤッと笑うキネウラに、あたしは心の底から❝気持ち悪ッッッ!!!❞って思ってしまった。




