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【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
最終章:無双代行の結末
424/514

424―来訪、そして羞恥を見る。

それからというもの、ヴァリエルとスドラは戦場で幾回の対峙をした。


スドラ率いる竜種(ドラゴレイス)森精人(エルフ)を押すと、どこからともなくヴァリエルが現れ、両者の一騎打ちが始まる。


初めの内はヴァリエルはスドラを打倒せんと容赦が無く、スドラも宿敵たるヴァリエルの存在を疎ましく思っていた。


しかし、幾度の戦いを経て、両者との間に奇妙な関係が生まれた。


「此度は頭を抉りおったか!!やりおるが惜しい!!」


「そっちは俺の防御魔能を貫通したな!?ついヒヤッとしちまったぜ!」


殺し合いをしておるのに、2人は技のぶつけ合いを楽しんでいた。


互いに本気を出せる好敵手と見込んでおるのだろう。


ヴァリエルとスドラはいつの間にか、切れようにも切れぬ、()()()というもので結ばれていた。


傍から見ると良からぬが、なんだか微笑ましく思ってしまった・・・。


そして両者が邂逅を果たして1000年の月日が経過し、森精人(エルフ)側が優勢になり、小さな村落まで作るに至った。


「スドラ様!!これでは奴等がのさばることを許すばかりでございます!!何としても手を打たねば・・・!!」


「然れども、あの森精人(エルフ)の導き手は、王自らが挑んでも敵わぬ難敵!!我ら如きに何ができようか!?」


ねぐらで竜種(ドラゴレイス)は、激しい議論を繰り広げていた。


「静まれッッッ!!!」


スドラが一喝すると、同族達は黙り、ねぐらに静寂が訪れる。


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「我が奴の許へ出向こう。すでに当たりはつけておる。」


ッッッ!!!


どういう腹づもりだスドラ!?


まさか・・・奴の寝首をかこうというのか!?!?


危険だと止める配下の制止を無視し、スドラはヴァリエルがいるであろう森精人(エルフ)軍の拠点へ飛んだ。


山の麓の森に、数多くのテントが設営されている中で、離れて一つだけ立派なものがある。


あれが奴の寝床か?


人間大の姿のスドラが、気配を消し、そのテントの近くへと降り立つ。


夏の森の夜、虫の鳴き音だけが響く中、スドラは灯りがついているテントの中を覗き見た。


「ん゛っ・・・!!あ゛あ゛っ・・・!!」


「はぁ・・・!!はぁ・・・!!ん゛ん゛っ・・・!!」


何ということだ・・・。


ヴァリエルの奴、森精人(エルフ)の娘とまぐわっておるではないか・・・。


影が映らぬようなのか、灯りは薄めにされていたが、それがベッドで()()()に興ずる男女の熱気をより際立たせる。


というより何故スドラはそれを食い入るように見ておるのだ!?


()()()()()()は、興味本位で見るものではないとミラも言っておった!!


ああっ・・・止めろッッッ!!!


そんな・・・。


激、しく・・・!!


「ッッッ!!!誰!?」


スドラに気付いたらしく、森精人(エルフ)の娘が魔能で灯りを大きくした。


・・・・・・・。


・・・・・・・。


エリガラードだった・・・。


多少のあどけなさがあるが、間違いなく彼女だ・・・。


既知の者だったとは・・・。


まぁ、将来は夫婦(めおと)になる2人だ。


有り得なくもない、か・・・。


スドラ(界竜王)ッッッ!!!何故ここに・・・!?」


若きエリガラードは、血相を変えて剣に手を伸ばした。


それをヴァリエルが止める。


「どうやら殺り合いに来たってワケじゃなさそうだ。そのつもりなら、とっくに皆殺しにされてる。」


「でっ、でも・・・!!」


「ここは俺に任せて、お前は帰ってて。ああそれと、このことは他言無用で頼んだよ?」


「わっ、分かったわ・・・。」


ヴァリエルの言うことを聞くと、エリガラードは服をささっと着てテントを出て行った。


あっ、貴様!!


今一瞥しおったな!?


くぅぅ・・・。


覗いていたのは我ではないのに、『悪いことをした。』と思ってしまうのは何故・・・?


「随分と()()だったな?」


「お前も趣味が悪いねぇ~。覗きなんてさ。」


「場が悪かったのだ。それで、あの娘は?」


「よく一緒に戦ってたんだが、ついこの間告白されてしまってよ。実は俺も好きだったから、そのまま・・・ってワケ。」


「大戦の只中だというのに色恋とは。相変わらずふざけた奴よ。」


「どの時代でも恋愛は自由だろ?で、何の用だよ?初めてお前から殺気が感じられないんだが?」


「何てことはない。お前と話がしたくてな。」


「ふぅん・・・。まぁいいや。上がれよ。せっかくだから酒でも飲もうぜ?なんせこんなに気持ちいい夜なんだからよ!」

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