402―未来を掴む最後の出陣
祖王会議から一ヵ月後。
いよいよあたし達は出陣の日を迎えた。
「うし!!じゃあ行ってきます!!グレースちゃん!」
「本当に私が一緒じゃなくて、良かったのかな?」
「グレースちゃんは今やこの国の王様でしょ?だったら危なっかしい場所に行かせるワケにはいかないっしょ?」
「でも・・・!!あなたに何かあったらあったらと思うと、私・・・。」
「心配はいらない。マスターのこと、グレースの分まで私達が守る。」
「私と一緒の内は、ミラお姉様に指一本触れさせないから!!」
「どうか私達に任せて下さい。」
「必ずや吉報を持ち帰ってくる!!」
「みんな・・・分かりました!!ミラを・・・親友のこと、よろしく頼みましたよ!!」
グレースちゃんは腹を括ったみたいだ。
一方で向こうは・・・。
「どうか息災でな・・・。無理をするでないぞ。」
「先生こそ・・・どうかお気をつけて!!こっち済みましたら、急いで駆け付けます!!」
「そうか・・・?いや、しかし・・・。」
「ルイギったら心配症ね。あなたよりよっぽど頼りになる人達がいるのだから、トヴィリンちゃんは大丈夫よ。」
「そうだ!!何せこのミラの兄弟、銀武竜ソル・ヴェナがついておるのだからな!!我がついておれば、誰も手出しできまいて!!!」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「分かった!其方らに託す。弟子を・・・よろしく頼む!!!」
向こうもようやく腹を括ったようだ。
アクメルを倒すため、あたし達は二手に分かれて攻め込むことになった。
あたし達吸血鬼軍と森護種達、それとイスラルフさんが西側をぐるっと回って、アクメルがいるであろう黎明の開手がの本部、❝空中城塞ヒメールシタデル❞に向かい、その間にエリガラードとアローグンが率いる森精人と岩削人の連合軍と児鬼種軍、そしてソル・ヴェナとトヴィリンで、アドニサカ魔政国の本土を攻撃する。
空中城塞は、軍蟻種がうじゃうじゃいるから、アドニサカ魔政国を魔族や朽鬼でガッチリ固めると思っての分担だ。
味方はそれだけじゃない。
あたし達の後ろからローマン公国と、ヴェル・ハルド王国の生き残りで構成された1万越えの兵士も付いて来てくれるという。
とにかくこれで、諸々の準備は整った!!
いざ出陣!!
と思ったところで、エリガラードがあたしの方に歩いてきた。
「ミラ。」
「何?」
「これから先・・・何が起こるか、世界の観察者でもある私にも分からない。でも、奴との決着を迎える時、どうか私にも、その場にいさせて。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「いいよ。ぶっちゃけあたし一人でどうこうなる相手だとは思ってないし。味方は一人でも多い方がいいから、そん時はとことんアシストお願いね!!」
あたしが親指を立ててグッドすると、エリガラードは少し微笑んでその場を後にした。
アイツを目の前にしたら、彼女がどういう行動にでるかは知らないけど、あの人には・・・全ての決着を見届ける義務がある。
そうあたしは漠然ながら思った。
「ミラ様、そろそろ。」
「うん、分かったよ。」
ヒューゴ君に言われると、あたしは今自分が乗っている白丸の首元を撫でた。
「さぁ~白丸!最後の出陣だよ。思いっきし気合い入れようね!!」
『バウ!!』
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ほんじゃ・・・しゅっぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!!!!!」
白丸が夜空に向かって大きく吠えるのを合図に、あたし達はラトヴァールの門から一斉に出撃した。
「おお白丸・・・!!かなり馬力入ってるね!!あたしの気合いが伝染ったのか!?」
と思って後ろを見ると、他のみんなも、いつもの戦いより❝気合い十分200%!!!❞ってツラ構えだ・・・。
「みんな!!絶対勝つぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
一斉に湧きあがった雄叫びに、あたしの心のボルテージも更に高まって振り切る。
「待ってろよアクメル!!異世界でのチートキャラ代行・・・最後の大勝負だ!!!」




