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【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
第四章 : 朽蝕の救済
201/514

201―勝利と生存への宣言

「はっ!はっ!はっ・・・!あっ!ミラ隊長!!」


ルイギさんとの語らいを終えて、自分の部屋に戻る途中、ノヴァク君がものすごく慌てて走ってきた。


「どっ、どうしたのノヴァク君?」


「はぁ・・・!はぁ・・・!アドニサカ軍が・・・動き出したっスッッッ!!!」


「ッッッ!!!」


いよいよ・・・来たか・・・!


「そっ、それで・・・今どんな状況!?」


「各部隊の兵たちはそれぞれ所定の配置に着き始めたっス!!俺達は今から、会議室で敵の戦力確認を行うので、ミラ隊長もお早くっス!!」


「わっ、分かった!!すぐ行くから待ってて!!」


「了解っス!!」


ノヴァク君と別れると、あたしは準備をしに、急いで自分の部屋に戻った。


「ミラお姉様!アドニサカ軍が・・・。」


部屋に入る前に、あたしはそれぞれの部屋から顔を覗かせているみんなと鉢合わせた。


「ついに来たよ~みんな!会議室で戦略確認するみたいだから、急いで急いで!!」


「「「「了解ッッッ!!!」」」


みんなに指示を出して、部屋に飛び込んだあたしは、パジャマを脱いでせかせかとアーマーを着込んだ。


「えらいこっちゃ!とうとう来やがったで!!ぬぅ~!!相変わらず・・・着にくッ!」


まだあまり慣れていない鎖帷子(くさりかたびら)にちょっと手間取ったけど、どうにかあたしは戦いの準備を完了させることができた。


「準備オッケー!!さぁて!行きますかッ!!」


姿見で改めて身なりをチェックして、どこにも不備がないことを確認すると、あたしは気合いMAXで部屋を勢いよく飛び出した。





◇◇◇





「ノヴァク君!おまたせ!!」


会議室に入ると、ノヴァク君をはじめ、各部隊の指揮官達もみんな戦いの準備満タンだった。


「ミラ隊長!それに乙女の永友の方々!準備、ご苦労様っス!!」


「早速だけど、向こうはどんな状況・・・ってルイギさん!?」


会議室の脇で、パイプを吹かしながらどっしりとしながら座っているルイギさんを見つけて、あたしはビックリした。


「ようミラ。申し分ない装いだのう。」


「なんでこんなところに!?まさか・・・!出るんじゃ・・・!!」


「地上部隊の支援にな。いや~鉄火場は久しいのう~。」


「るっ、ルイギさんはあくまで指導係として来てくれたんですよね!?だったら出る必要なんてないんじゃ・・・。」


「ッッッ!?」


そう言った瞬間、ルイギさんの眼光が鋭くなり、睨まれたあたしは棒立ちで固まってしまった。


「若い者が身体を張って、己の居場所を守ろうとしておるというのに、黙って奥で指をくわえてなど、おられるか。ミラよ、お前は儂を見くびっておるのではあるまいな?」


めちゃくちゃすごいオーラだ・・・。


息苦しくなるくらいの・・・。


確かに、ルイギさんは吸血鬼軍創設メンバー。しかも救血の乙女(あたし)が出て来る前は、“吸血鬼軍最強の戦士”とまで言われた人。


まず遅れなんか取らないだろう・・・。


「しっ、失礼なこと言ってすみませんでした!!でっ、ですけど・・・むっ、無茶だけは、しないで下さいね・・・!!!」


あたしが意を決してそう言うと、ルイギさんの表情は穏やかになって、あたしは動くことができた。


「フッ。そう案ずとも己の身は己で守るわい。お前こそ、一人で突っ走らぬようにな。」


「わっ、分かりましたぁ~!!」


ふぅ~!!


めっちゃコワかった~・・・!!


「皆すまんな。話の腰を折ったりして。さて、構わず続けてくれ。」


「わっ、分かりましたっス!!ではベアエス!敵戦力の報告を頼むっス!!」


「りょ、了解。偵察部隊からの報告によりますと、敵側の戦力は魔能騎士4000、魔能士団2000、そして、フラトーム産と思しき魔物を使役したグレンモン部隊。魔物の数は、およそ70です。」


「ノヴァク君、これって・・・。」


「頭数だけ見ればこちらとほぼ互角・・・だけど戦力的には、向こうの方が有利っス・・・!」


「これは・・・本気で潰しに来ていると見て良いかもしれんのう。」


マジか・・・。


これは・・・総力戦必至・・・だね・・・。


「到達まで、およそ30分。各部隊の配置完了には間に合います。」


「了解!報告どうもっス!それじゃあみなさん・・・覚悟決めて、行くっスよ~!!」


「「「「おおッッッ!!!」」」


「ちょっ、ちょっと待ってみんな!!」


気合いを入れて出発しようとしたみんなを慌てて呼び止めた。


どうしても、伝えたいことが、あったからだ・・・。


「ミラ隊長?」


「少し、いいかな?戦いの前に、どうしても言いたいことがあったから・・・。」


あたしからの言葉とあっては、聞き流してはいけないと思ったみんなは、背筋をシャキッとさせた。


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「状況は極めて切迫してる。そんな中で、“敵からは誰も死者を出さないでほしい”なんて正直無茶苦茶な注文だって自分でも解ってる。だけど、これだけは知っておいてほしい。あたしが今回の戦いで望んでるのは、()()()()()()()()()()ってlこと。つまり・・・ここにいるみんな。防壁区画で戦う兵士の人達、そして、居住区画であたし達が守らなくちゃいけない人達・・・。西方吸血鬼軍本部の吸血鬼のみんなと、あたしの仲間もどうか無事であってほしい。いや、絶対無事にさせる!このあたし・・・救血の乙女ミラの名の下に宣言する!!今回の戦いでは誰一人死人は出さない!!敵味方関係なく!あたし達は無事に生き残り、向こうにはあたし達の怖さを存分に味わわせた上で、お引き取りしてもらう!!あたし達は勝ち、敵は降参!!それでこの戦いを終わらせるぞッッッ!!!」


「「「「おお~!!!」」」


先程とは比べ物にならない歓声が会議室に轟いて、あたし達はアドレナリン全開で部屋を飛び出した。


待ってろよ~アドニサカ軍!!


あたし達にケンカ吹っ掛けたこと、フルボッコにして分からせてやるんだからッッッ!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 関西弁もここでは1ミリも伝わらなさそう() 決戦は近い!互角の争い!果たして軍配はどちらに上がるのか? ミラの知られざる過去がまた明らかになりましたね〜
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