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【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
第一章 : 救世主の復活
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16―難民救出作戦①

クソッ!しくじった!!


先走って無謀なマネをする前に、相手と自分の戦力差を押し図るべきだった!


いや、そもそも()()()()()を忘れて、あのような行動に打って出たのが失敗だったか・・・


執将(しっしょう)様からも「くれぐれも余計な事に首を突っ込むな。」と釘を刺されていたのではなかったのか!?


とにかく、今は出来るだけ遠くに離れて一番近い拠点に救援を要請することを第一に考えねば。


急がないと、()()()()()が、皆殺しにされてしまうッッッ!!




◇◇◇




「よ〜しよしよし!頑張って捕まえたねぇ♪」


「ガウッ!」


いや〜今日も大漁大漁♡


野ウサギが8羽に鹿3頭、そして大猪が1頭かぁ!


この子ら図体の割にすばしっこくて、色んな動物捕まえにきてくれるからホント助かるよぉ♪


これで当分のタンパク源に関しては問題なくなるか。


よし!それじゃあまだ戻ってきてない茶々助が帰ってきたらいつもみたく集まった獲物を拠点まで転送(おくる)としますかっ。


しっかし、遅いな〜


もしかして遠くに行きすぎて迷子になったとか?


いや、禍狼種(この子ら)の尋常じゃない嗅覚の良さに限ってまず有り得ないか。


じゃあ一体どうしたんだろ?


んっ?


あっ、戻ってきた!


「茶々助遅いよぉ〜!一体どこまで探しに行って・・・って、ええっ!!?」


なっ、何でこの子血だらけの人なんか背負って戻ってきてんの!?


まっ、まさかこの子ッッッ!!


かっ、カンベンしてよぉぉぉぉぉ!!!


いっくら何でも人は狩ってきちゃダメでしょ〜!


あんだけ狩ってきていいいのは動物だけって躾けたのにぃ・・・


やっぱここは飼い主として、怒った方がいいかッッッ!!


「コゥラァァァァ!!!茶々助、アンタ人間捕まえてきちゃダメって言ったでしょお!!」


「アッ、アウ?」


「いやキョトンとしてないで、この人アンタが狩ってきたんでしょうが!?」


「アウアウアウアウ!!」


「何!?“違う”って言いたいの?いやどう見たってこれアンタが噛み殺したっての丸わかりだよ!?」


どうすんのよこれぇ・・・


どっか適当なトコに手厚く葬るしかないじゃ〜ん。


「あ・・・ああ・・・」


こっ、この人、まだ息がある!!


よっ、良かったぁ〜


これなら何とか治せることができるよぉ・・・


とっ、とにかくまずはこの人に謝らないとっ!


「ごっ、ごめんなさいウチ犬が!後でよぉ〜く言い聞かせますから、どうかここは穏便に・・・って、アレ?」


この人の傷、よく見たら斜めにザックリ割れてる・・・


もしかして、コレ・・・剣で受けた傷・・・?


「じゃ、じゃあ茶々助が襲ったんじゃ、ない・・・はっ!」


「・・・・・・・。」


茶々助が、不信感と怒りでドッロドロになった眼差しであたしを見つめている・・・


「ごっ、ゴメン・・・まさかホントにアンタの仕業じゃ、なかったなんて・・・」


プイッ!


「待って待ってマジでゴメンってッッッ!!!お願いだからヘソ曲げんのやめてぇぇぇぇぇぇ!!」


「ガウッ。」


ん?狩ってきた鹿の中で一番デカいのを手でチョンチョンしてる?


ひょ、ひょっとして・・・


「分かった・・・詫びの印に鹿(それ)丸ごとやるからどうか許して下さい・・・」


「ハッ!!♡ハフッ!♡ハフゥ♡」


うう〜貴重な蓄えがぁ〜


みんなホントにあたしのせいでゴメン〜〜〜!!


「ヒュー・・・ヒュー・・・」


そうだった。


今はこの人を治して拠点に連れていかないと。


ッッッ!?


こっ、この人、前歯に牙がある!


って、ことは・・・


「こっ、この人、仲間(吸血鬼)だッッッ!!」




◇◇◇




「あっ、おかえりなさい。ミラ殿。ッッッ!!そっ、その者は!?」


「茶々助が見つけてきたの!傷は治したんだけど、なぜか目が覚めなくって!!」


「すっ、すぐにソウリンに知らせてきます!おい!机の物を全部どかせッ!」


「はっ、はい!」


ガラッ、ガシャン!!


ドスンッ


「ミラ殿!」


「ソウリンさん・・・」


「話は聞きました。その者を見せて下さい。」


「ヒュー・・・ヒュー・・・」


「どう、ですか?」


「マズイな。“ロスドゥルガの呪毒”にやられて生命力が遠隔で吸い取られている・・・」


「それってどういうことですか?」


「急いで中和しないと・・・手遅れになります。」


「そっ、そんな・・・どうやって治せるんですか!?」


「吸血鬼がこれに侵された場合、毒の呪いより強力な生命力を持つ生き物の血を飲ませるのですが、今から用意するのはとても・・・」


()()()()()()()()・・・ッッッ!!


「くっ!」


ビッ!


()っ・・・」


「ミラ殿!どういうことです!?自分の手を切るなんて・・・」


「ソウリンさん!()()()()()()()()()()を飲まさればいいんですよね?だったらあたしの血を飲ませたら・・・」


「でっ、ですが、ミラ殿の血が効くかどうか分からないのですよっ。」


「大丈夫!絶対効く!だって、あたしは・・・」


「ミラ殿・・・分かりましたっ。一か八かやってみましょう。ミラ殿、この者の口に血を落として下さい。」


「うん!」


ポタ・・・ポタ・・・


お願い!効いて!!


「ヒュー・・・ヒュー・・・はぁ!!?」


バタンッッッ!!!


「うひぁ!!?」


「はぁ!はぁ!こっ、ここは?」


「吸血鬼の拠点だ。もう大丈夫だぞ。」


「そっ、ソウリン殿?」


「ん?其方、よく見たら執将様のお付きの者ではないか?どうしてこのような地に?」


「ええ、実は、ミラ様の・・・」


「あたしがどうかしたって?」


「えっ?ッッッ!!みっ、ミラ様・・・!!?」


「助かってホント良かった。でもまさか飛び起きるなんて思わなかったなぁ。いや〜効果テキメンだったよ、あたしの血・・・ってどうしたの?なんかフラついてない?」


「みっ・・・ミラ様が・・・ばっ、化けて・・・出て・・・」


バタンッッッ!!!


え、何でこの人も一回気絶したの?




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