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【完結】吸血鬼の救世主に転生した陽キャ女子が異世界で無双代行する話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
第三章 : 耳飾りの旅
145/514

145―黄金の森の国

ん?


あれ?


なんだか森の日差しの色が、変わってきたような・・・。


なんかこう・・・妙に()()()になってきた、というか・・・。


「あの~ティスムドル様?」


「どうしたソレット?」


「森に差す光に、金色が混じってきたような気がするのですが。」


「ああ、そうだな。()()()()か・・・。」


「いよいよ?」


「見てみろ。木の葉の中に金色に染まるものがあるだろ?これが全ての樹々の全ての木の葉まで広がったその時こそ、マースミレンの領土に入った証拠だ。」


「ってことは・・・ティスムドルさん!!」


「そうだアサヒ。目的地は近いぞ!」


ゴールが・・・すぐ目前に・・・!!


ついに・・・ついにここまで!!


「ぃよ~しみんなぁ~!!旅もいよいよクライマックスだよぉ~!!ラストスパート、頑張ろう~!!」


「「「おお~!!!」」」


そっから私達は、今までの疲れがまるでウソみたいに森の中を駆け走った。


ソレットなんか「もう待ってなんかいられません!!」なんて言って、チーズ郎から飛び降りようとしたのを、ノイエフさんが手綱を引きながら必死で止めた。


そりゃゴール目前で事故られたでもしたら、たまったモンじゃないからな・・・。


森の中を進むにつれて、金色の日差しがどんどん強くなって、とうとうティスムドルさんが言った通り、森全体を金きらに照らしだした。


そのあまりにも圧巻な光景に、私達全員が見惚れてその場で止まってしまった。


「すごい・・・森全体が黄金に、輝いてる・・・。」


「ああ・・・。まさに壮観だな・・・。」


「あっ、アサヒ様・・・。わたくし達、ついに・・・。」


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「うん!着いたみたいだね。でしょ?ティスムドルさん。」


「ああ。ここが俺の故郷・・・マースミレンだ。」


あたしは・・・いや、あたし達は感無量だった。


だって、ようやく旅の目的地に着いたのだから・・・。


いやぁ~ここに来るまでに色々なことがあった。


楽しいことも、辛いことも、ハラハラする戦いも、残酷な過去と向き合って、それを乗り越えたことも・・・。


その全てが・・・ついに報われた。


あれ?


なんか・・・泣きそうになってきた・・・。


「アサヒお姉様?」


リリーに声を掛けられて、あたしはみんなにカッコ悪いトコを見せまいと、袖で目をゴシゴシ拭った。


「みんな・・・今までご苦労様!!さっ!早く耳飾りを届けに行こっ!」


そうしてあたし達は、金色に染まる森の中をゆっくり進んだ。


国の中に足を踏み入れていく内に、ティスムドルさんが住んでたウチにみたいな、木をくりぬいてそのまま家にしたような住居が増えてきて、森精人(エルフ)の人通りも増えてきた。


なんかみんな、あたし達のことを、妙に怪しんでるような目つきで見てる気がする。


そりゃそっか。


本来だったら痩鬼種(オーク)の乗り物である禍犬種(ワガドグ)に、人間と同じ森精人(エルフ)が乗ってるんだから・・・。


う~ん・・・。


『アイツ等魔族の回しモンじゃないだろうね!?」とか心ン中で思われてたらどうしよ?


そうこうしている内にあたし達は、橋が架かって、金色に照らされてるというより()()()()()という言い方が正しい葉っぱを付けた、幹に門がある、一際立派な大樹の前に着いた。


「アサヒ。ここがマースミレンの王が住み、この森を照らす聖なる大樹、“煌城樹(こうじょうじゅ)”だ。」


ああ、やっぱそうか。


どうりでご立派ででっかい木なワケだ。


あたしが感心していると、門の向こうからぞろぞろ人を引き連れて、誰かこっちに歩いてきた。


それは、純白の衣装に身を包み、頭に小振りな、金の草を紡いで作られたような冠を戴いた、森精人(エルフ)の男の人、しかもバチクソなイケメンだった。


「ようこそお越し下さいました、アサヒ最高位魔能士殿。」


「あっ、あの~・・・あなたは・・・?」


「申し遅れました。わたくし、この国の第一王子のプリクトスと申します。今後、皆様をもてなすようにと父上・・・王から仰せつかっております。」


おっ、王子様!?


ほぇ~!!


やっぱ森精人(エルフ)の王子様だから、いい顔してるわぁ~!


「さぁ。騎獣の方はお任せして、どうぞ中へ。王がお待ちです。」


チョコ之丞達を、プリクトスさんが連れてきた兵士さん達に任せて、あたし達はこの国の城である大木の中に足を踏み入れた。


さぁ!


いよいよ王様とご対面だ。


気ぃ引き締めていくよぉ~!!

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