4−4 桜のキノコにご用心
火山を越え、雲海ユニークアンリアルに着いた。率直な感想を述べよう。全てが不思議な場所だ。そこら中道を閉ざす様に生えている桜にふわっとした感覚の雲の地面、桜に囲まれて居ても分かるほど高い塔など他で見れないものばかりだった。桜なんてもう散ってる時期だと言うのに満開に咲き誇っているのが不思議で。普通なら触れられないはずの雲の上に立っているのが不思議で。何処まで続くか分からない塔が不思議だった。
「セツナ、あの塔ってなんなんだ?」
「あの塔は有名で『最果ての靡天楼』って言うんだよ」
「び、びて?」
「なんか後々攻略しそうなぐらい意味深な名前してるわね」
靡なんて漢字初めて見た。
「これからどっちに向かうんですか?」
「そんなの決めてないわよ」
ノープランなのかよ。採りたいキノコがある訳じゃないのかよ。私とセツナは疎かソフィーですら呆れてるし。
「こんなこともあろうかと……My青えんぴつを持ってきたわ!」
「えっと、なんで青えんぴつなんですか?」
「最初に目がいったからよ」
「意外と使い込んでるじゃない」
「これでも最近買ったやつなのよ!」
「もしかして絵とか描けるのか?」
「いえ? 全然描けないわよ」
「え、じゃあなんで」
「アタシ、百均で売ってるキャラクターもののぬりえを塗るのが趣味なのよ」
「あ〜、ディズニーとかポケモンのとかよく売ってますよね」
は、反応しづれぇ。てか百均あったのかよ。異世界の百均って何売ってんだろ今度行ってみよー。
「それじゃ、どっちに行くか決めるわよー」
「青えんぴつのインパクトで気にしてなかったけど、もしかしてそれで方向決めようとしてる?」
「そりゃそうじゃない。困った時のコレよ。別にここら辺はモンスターが出る訳じゃないんだしどんな方向に行っても危険ではないはずよ」
「あ、あほらし……」
リサが青えんぴつから手を離すと、私から見て右斜め上に倒れた。
──リサが。
「「お前 (アンタ) が倒れるんかい!!」」
「???」
青えんぴつもピンと直立しやがって……
「さぁ、こっちに行くわよ!」
彼女は、雲の上に倒れながらそう言った。
* * *
「ふぅー。疲れましたぁ」
「結構歩いたんじゃない?」
大体1時間弱歩き続けてたのではないだろうか。私もかなりクタクタだ(単に体力がないだけ)。
歩いてる間に6本ほど採ったけどこれどうすんだろ。やっぱ食うのかな。
「丁度いいタイミングだしこのキノコ食べない?」
「これって生で食べて大丈夫なんですか? 毒とかあるんですか?」
「毒はかなーり危険なとこに生えてるキノコにしかないらしいわ」
世の中広しと言えど、そんなの態々採りに行くヤツもいるんだな。
「じゃアタシはこれを」(ぱくっ)
「ちょ、わたしにも選ばさせてよっ」(ぱくっ)
「じゃあソフィーも」(ぱくっ)
私はこれにしよ、ぱくっとな。うーん味しないな。蜃キノコはサイズが小さいので一気に食べれるのが良いな。
「おーなんかキてるわー!」(ドガーン)
爆発した。
「おー服がスク水になってるわ。丁度暑くてふぐ脱ぎたかったから助かるわ」
どういう原理? 元の服どこ行ったんだよ。
「スク水って何?」
「変な紺色の服ですね」
「スク水はねぇ、コスプレ用の水着よ」
本来はコスプレ用じゃないけどな。
「ん、何か身体がムズムズする……」
セツナは心を弾ませながら縮んで行った。
「な、なんでちっちゃくなってってるのよー!」
「ふふ、ワロタ」
瞬く間にありんこサイズになってしまった。あわれ、セツナ。
「────(なんでこんなことになるのよ)!」
声に関しては小さすぎて聞こえないし。
「踏んじゃわないように気をつけないと、ですねっ!」
「────(当たり前でしょーが)!!」
なんて言ってるか分からないけど、多分怒ってるんだろな。
「順番通りだと次はソフィーですね」
ソフィーに猫耳が生えてきた。これマジかしっぽまで生えてやがる。
「どうなったんですか? にゃん」
「────(にゃん)!?」
「スク水、猫耳、シュリンカー。何も起きないはずがなく……」
「なんも起きねーよ」
なんも起きないと言えば今んとこ私には(ドカーン)急に爆発するな。で、何が変わったんだろ。
「何も変わってないですね……にゃん」
「“変わらない”って効果なのかしら」
「だとしたらかなり運悪いんじゃ」
はぁ。わくわくが終わっちゃったよ。
「待って! もしかしてだけど」
「え? 何?」
「えい」
舌を引っ張られた。何しやがる。
「やっぱりそうみたいね」
リサは私の舌をゆっくりと引っ張っていった。?? なんか長すぎね? 普通そんな伸びないだろ。
「どうやらるりりは舌か長くなったみたいね」
「じ、地味ー」
「そうでも無いわよ。こういうの好きな人って結構いるんだから」
それは今関係ないと思うぞー。
「リーダーにゃん、それ大丈夫なんですにゃん?」
「ゆん、ふぇんふぇん」
そう言ってる間にもどんどん引っ張られていく、そろそろ自分の身長より長くなるんじゃないか。
「あ、もう伸びないわね」
リサが舌から手を離したが戻ってこないで伸びたまんまになっていた。
「ひょーしゅんらよほれ」
「まあまあ、寝れば治るんだから」
「らぁほやふひ」
寝ないと移動も出来んわ。
「るりり寝ちゃったわね」
「セツナにゃんはもうとっくに寝ちゃってますしにゃ……」
「(……この桜がまたたびだったら良かったのになぁ)」
「どうされたんですにゃ?」
「これがホントのふぃ〜“にゃん”ね。って思っただけよ」
「ソフィーは無理やりこんな喋り方になって疲れちゃったのでもう寝るとしますにゃん」
「じゃあアタシも一緒に寝るわ!」
* * *
ふわぁ。よく寝た。舌は……よし、元に戻ってる。
「やっと起きたわね」
「ぐっすりでしたね」
「ちゃんと皆元に戻ったし帰りましょ」
「そうだな」
寝たら元に戻るって、なんだか夢だったみたいだ。ちょっと哲学的だけど、休んだときに私達は寝てて本当に夢を見ていたのかも。だとしてもこの雲の上は少し変わってる。いや、ここでは“変わってる”のが普通なのかな。
「そういえばこれからどうするの? わたし達ってチーム組んでからずっとなんとなくクエストしてなんとなく遊んで生きてきたけど、なんか目標を持つべきじゃない?」
こりゃまた急だな。でもこのチームはマジでなんとなくで生きてると思う。ソースは自分。
「目標ですか。そうですね、やっぱり悪い人を倒すのが一番ですよ」
「それならいい方法があるじゃない」
「いい方法ってもしかして魔王倒すとかそういうのか?」
「それ以外ありえないわ。だってアタシはこれでもお姫様なのよ、王族よ。大体こういうファンタジーな感じのだと魔王討伐がクリアってのがお決まりよ」
本人が「これでも」とか言うようになっちゃった。あと、ファンタジーな感じってファンタジーな感じの人が言っていいもんじゃないだろ。
「それに、アタシには倒さなきゃいけないヤツがいるし」
「あのカボチャの子? アンタがあの子に恨まれてただけなんだから、なにもアンタが恨むことは無いんじゃないの?」
「ちっちっち、分かってないわね。カボチャはもうライバルよ。ライバルは作れる時に作るもんなのよ」
「ライバルは作るものじゃなくて出来てるものだろ」
それに、かなり一方的だし。
「魔王さんの討伐、ですか! 燃えますね!」
「わたし達なら意外と簡単に倒せちゃうかもね」
「そういえば魔王倒したらモンスター居なくなったりするのか?」
大抵モンスター達のボスをやってるもんだからな、魔王って。
「別にそんな事はないと思うわよ。居なくなるんじゃなくて仲良しになるだけじゃないかしら」
「仲良して。表現可愛いな」
「平和の為に戦うなんてまるでヒーローみたいでかっこいいですね! やりましょう目指しましょう!!」
ソフィーが結構ノリノリ。多分この子そういうのが好きなんだろうな、分かるよ私には。私も好きだもん、真っ当な正義。
「ふふっ、じゃあこれからアタシ達……えっとなんだっけ、テトラポットだっけ?」
「もしかして、テトラ・スペクタクル?」
「そうそうそれそれ、いらない子な設定だから忘れがちなのよね」
考えよう〜とか言い出したやつが言うセリフかそれ。
「改めて、これからアタシ達テトラ・スペクタクルの目標は魔王討伐に決まったわ! この世界平和にしちゃいましょ!!」
「「「おー!!」」」
そんなこんなで私達のチームが掲げる目標が決まったのであった。──なんか私よりリサの方が主人公っぽくなって来てない? 私の立ち位置大丈夫?
スマホゲーをひとつ増やしてしまいちょっと忙しくなった僕です。
今回は2個の話を重ねたみたいな話でしたね。どうしても○−4以上はやりたいんですよね。だったらちゃんとひとつの話でやりくりしろよって感じですけど。
最近語りも少なくなっちゃってます。会話で表現しようとしがち。ゲームのやりすぎですね。
こういうのをなんか頭イイ人達はゲーム依存症って言うんですよね。あれもう僕みたいな人間だとバーナム効果かなと錯覚してしまうほど普通になってきてしまっているのがとてもとても恐ろしいです。




