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4−1 神様にあった日

 長閑な長閑な昼下がり、私はリサの部屋に遊びに来ていた。腐ってもお姫様といった所だろうか、クイーンサイズのピンクいベッドには天蓋がついていて、その傍にはドレッサーが置いてあり、床にはふかふかしたカーペットが敷いてあった。なんというか、全体的に「女の子の夢」って感じの部屋だった。


「今のクッキーと紅茶、美味しかったわね。流石はアタシのリティニカだわ♪」

「有り難きお言葉です。姫様」

「ほんとに凄いですねこれ。どうやって作ってるんですか?」

「企業秘密です♡」

「あ、そうですか」


 見ての通り、私とリサだけじゃなくリティニカさんも一緒に部屋にいる。リティニカさんずっと立ってるけど疲れないのかな?


「あのー座らないんですか?」

「座ったら私の負けになってしまうので……」

「負け? 負けって何のですk──」


(ヴヴヴヴヴ……)


 今の音を聞いて、私はこれ以上聞くのはやめるべきだと分かった。マジで何やってんだこいつら。今までの雰囲気全部台無しじゃねーか。


「そういう訳だから、座れないのよ。リティニカは」


 アホらし、突っ込まんとこ。


「あの……姫様」

「なーに? リティニカ」

「私、大変ムラムラして来たのですが」

「もー。しょうがないわねぇ。てことでるりり、この部屋は今から戦場になるわ。今すぐ出るのが身のためよ」

「私は3Pも悪くないと思いますよ」


 私は扉に向かった。


「残念です」

「ノリが悪いわね〜。あとちょっとで同人誌の導入から本編に出来たってのに」

「言ってろ」


 全く、運営に消されたらどうすんだよ。

 しばらく歩いていると奥にセツナが見えた。


「おっ、セツナーーおーい」

「ん。お姉ちゃん」

「何やってたんだ?」

「さっきリティニカさんがクッキーを作ってたんだけど、それを見てわたしも作ってみようかなって思ったんだけどね……」


 セツナは青くてボロボロの謎の物体を見せてきた。もしかしてこれがクッキーって言うんじゃないよな……?


「思ったように作れなくて変なのが出来ちゃったの……」

「そうはならんやろ」

「見るからに食べれなさそうだから廃棄しに行こうとしてたの」


 賢明な判断だと思うけど、折角作ったものを捨てるのはもったいないな。


「私が食べるから捨てなくて大丈夫だよ」

「でもお姉ちゃん、これ確実にヤバいって」

「いただきまーす。あーんっと」


 それを口に運ぶと、中でジュワッと溶け、エビと野草とソーダとバニラが混ざったアイスのキメラみたいな味がした。



「なぁにこれぇ」(バタリ)



「お姉ちゃーーーーん!!!」


 * * *


「お久しぶりですねw桜音ツバキさんw──っとw、今はルリア=シエスターさんでしたねw」


 そこには久しぶりに見る光景(暗闇)が広がっていて、あの時のロボットが居た。

 というか話し方前よりウザくなってない?


「あの、一応聞いてもいいですか?」

「はいw何でしょうw」

「なんで話し方ウザくなってるんですか?」



「…………」



「…………?」



「こういう時のようにwムカついた時すぐキレてしまうのですぐキレないようにするプログラムを主に組まれたのですがw、代わりに語尾に『w』がつくようになってしまったんですw」

「そうはならんやろ」


 ついついさっきと同じことを言ってしまった。神様は物事をプラマイゼロにしか出来んのか。


「先日は怖がらせてしまいましたねwすみませんw」

「今の状態で謝られると今度はこっちがキレそうになってくるのでやめてもらえるとうれしいです」

「相変わらず失礼な人ですねw」


 「おま言う」と言いたいところだけど、それこそ「おま言う」なので言えなかった。なんだか負けた気する。


「ところでなんでまたここに私居るんですか?」

「此方がお呼びした訳じゃありませんので多分死んだんじゃないのw?」

「セリフにネタを入れようとしたのはいいと思うんですけど、キャラがよく分かんないことになってますよ」

「ルリアさんw、貴方本当に失礼ですねw」


 てか死んだて。つまり妹のメシがマズ過ぎて死んだってことだろ。でも確かにあれは酷かった。形、味、匂い、全てにおいてクッキーとは言えなかった。


「死んだらあちら側から復活して貰わないと生き返れませんよw」

「まぁそうじゃなきゃ復活魔法とか意味無いもんな。でも私のパーティのそういう役って私のだけどどうなるんだろ。それに飯で死ぬとは思わないだろうし、死んでることにすら気づいて貰えないんじゃ……」

「はいw普通に詰んでると思いますw」


 ですよねー。


「どうにかならないもんなんですか?」

(わたくし)の主に頼めば出来ないことも無いかとw」

「そういえばお前の言う主って私が(便宜上は)信仰してるスノードロップ様なんだよな?」

「そうですともw」


 さて、面倒くさくて説明してなかったことを説明する時間(タイム)が来ました。私の住んでるピュエラ王国では『ドゥルキス教』という宗教が一般的で、その宗教では『スノードロップ』という神様を信仰しているんです。このスノードロップという神は、プリーストをやってる私ですら知らないことだらけの不思議な神様なんです。


「じゃあ主を呼んでみますw──主よ。我々の救済の為にここに降臨せよ──吹雪は吹き、聖杯から零れし雫は輪廻へと誘い、息絶えし生命は唄い、災いの音は響鳴する、主よ、()()()無を創り出せ──」

「『w』はどこ行ったんですか。しかもかなり痛い内容だし」

「うるせぇ!! だまれカス!!! 組んでもらったプログラムを一時的に解除してんだよ、んなことも分かんねぇのかゴミ!!! あとこの詠唱しないとあのヤr……主は出てこないのです。あの方は私に恥ずかしいことをさせて楽しんでいるのです」


 そこまで察しろって言われても困る。あと今の聞いた感じスノードロップって思ってたより性格悪そう。


「……ともあれw、これで主が来てくれますよw」


 こいつがそう言うと、次第に周りに色々な装飾が現れた。現れるというか、逆にこっちが他の場所に移動したかのように、そこにあった。大きな時計や木馬、観覧車に自動販売機にブランコなどなど沢山の無機物が目視できる範囲の至る所にあった。



「どーもどーも。あたしが彼の有名なスノードロップ様其の人だよ☆ あははっ☆」



「あ、あなたがスノードロップ……様」



 白く長い髪に惹き込まれるような紫色の瞳。そして露出度が高く、水着の様──というかほぼ水着の服に赤色のメガネをかけた身長の高い女性が笑顔で目の前に立っていた。私には何故かそんな彼女が、神々しく、禍々しく見えた。


「話は勿論聞かせてもらってるよー。端的に言っちゃえばあたしにズルを要求してるってことでしょ?」


 確かにズルだけどそんな人聞きの悪い言い方しなくても──


「うん、言い方悪かったかもだけどズルはズルなんだよねぇ〜」


 あれ、地の文で言ったはずなんだけどな。バレバレじゃん。


「そりゃそうっしょ。此方人等(こちとら)、神様よ?」

「この様に主はとてつもなく面倒くさい方なのですw」

「キミ、良かったね。次ここに来る頃にはこいつ(まりたん)の性格は今以上に良くなってるだろうから☆」

「あはは……そうですね!」


 この人怖ぇーー。怖いけど口元にホクロあるのなんかセクシーで良いな。


「w? 主、それはどういう意味ですかw?」

「まりたんは察しが悪い子なんだなー」(わしゃわしゃ)

「髪わしゃわしゃしないでくださいw」

「とりま、居ると話進まないし──退場!」

「えw?」

「大丈夫よ。この話が終わったら帰してあげるから☆」


 スノードロップ様がそう言うと、まりたんはヒュっと消えてしまった。怖ぇーー!!


「大丈夫大丈夫。そんなに怖がらなくてもあたしは死人を殺すなんて死体蹴りみたいなことしないから☆」

「そういう発言が怖いんですよ!」


 しかも前後ろ縦横色んな場所にワープしてワープしてを繰り返すのがまた恐怖心を煽る。


「それで、キミは復活魔法無しで生き返りたいんだよね」

「はい。そうです」


「ふーん」


『そっかぁ』


『キミは』


『どうしても』


『生き返らないと』


『いけないのかい?』


 広い空間なのに響く声はまるで私の心に直接語りかけているかのようだった。


『どうしても生き返らなきゃいけない理由はあるの?』


『キミ以外にも世界平和の為に奮闘する冒険者は沢山いる』


『仲間が悲しむ? 出会って1ヶ月ちょっとしか経ってないんだからそんなに気にすることでも無いんじゃない?』


『あたしの力を使ってでも、条理に抗ってでも生き返りたいの?』


 スノードロップ様はどうやら思ったより賢くないらしい。


『まりたんが言う通り、キミは失礼だね』


「あのですね、スノードロップ様。アホの考えることをもう少し分析出来るようになるべきですよ。私が言いたいのはそういうことです」


『???』


「特に意味は無いって言い方が正しいんじゃないですかね? 悲しむとかそういうのじゃなくて、もっとアイツらと仲良くなりたいって言うか。ここで終わらせたら折角出来た機会が無駄になっちゃうんですよ」


『キミは無意味を望むってこと?』


「望みますよ。効率とかそういうの無しで。それに1ヶ月ってすぐに過ぎちゃうけど自分で思ってるより中身いっぱいなんです。神様からしたら一瞬なんでしょうけど」


『それがキミにとって後悔のない選択なの?』


「あぁ、私にとってこれ以外の選択肢は全部後悔みたいだしね」


「……あまり納得いかないけど、そこまでアツく言われちゃったら認めたくなっちゃうよね☆ うんうん」

「あ、ありがとうございます!」


 良かったぁ。次に死んだ時もこんなことしなきゃいけないのかな。だとしたらかなり面倒そう。


「心配しないで☆ 今度からキミがここに来た時は絶対に復活させてあげるから☆ それにあたしも毎回こんなのやってられないし☆ じゃーねー」


 彼女がそう言うと、私の目線の先は自分の部屋の天井になっていた。ってことは帰ってこれたってことか。セツナ辺りがベッドまで運んでくれたのかな。部屋も真っ暗だし、もう夜っぽいな。さてと、飯は出来てるかなー。

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