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3−2 “シオヒガリ”とは

 いやーこの城って思った以上にすごいんですねー!! 特にあの隠し扉を開けるための謎解きなんて印象的でしたねってあれ? これもしかして全カットされてますか?

 ──まぁ正直ずっと語ってるだけだなんてなんの面白みも無さそうですしカットされても仕方ないか……

 んで、今は大体11時過ぎたぐらい。まぁ丁度いい時間ってやつです。


 (コンコン)


「お姉ちゃんいるー?」


 急にノックされたと思ったらセツナか。タイミングいいな。


「いるいるー」

「そろそろ出る準備するべきかなぁ?」

「ま、そろそろそんな頃合いだよな」

「じゃあリサとソフィーちゃんにそろそろ用意しといてって言っておくね」

「りょーかい」


 用意といっても私が用意するのは杖ぐらいなんだけどね。この杖可愛くて好きなんだよね、私が転生する前の私には感謝だよ。


 〜30分後〜


「そんじゃ全員準備できたかー?」

「もちのろんよ!」

「すぐに出れるよ、お姉ちゃん」

「準備ばんたんです!」

「よーし行くぞー!!」

「「「おーーーー!!!」」」


 * * *


 というわけで現在平原でーす。どーやらここ通らないと海岸まで行けないみたいです。ちなみに余談ですが前に山火事にしてしまったあの山もあるこの平原の地域はピューバティープレーリーって言うみたいです。


「潮干狩りって初めてなんですよね〜」

「へぇ、わたしとお姉ちゃんは一回ぐらい行ったことあるからちょっとは分かるけどソフィーちゃんと言い出しっぺは全然知らない感じなのかしら」


 どうやら私は行ったことあるらしい。


「あの時のこと覚えてる? 全然貝が掘り起こせなくてお姉ちゃんが泣いちゃった時のこと」

「お、覚えてないなーあっははは……」


 別に自分が実際に体験したわけじゃないのに、ものすんごく恥ずかしい。


「今でもあの顔を鮮明に覚えてるの。もしも今、あの時のお姉ちゃんを見かけたら『よしよし大丈夫だよ』って頭をなでてあげたいぐらいに、可愛かったから」


 姉想いのいい妹だな──じゃないよ。ヤンデレかよ。今すぐ泣き出したいぐらい怖いよ。


「想像するだけで癒しって感じね。さすがアタシが認めただけあるわ」

「認めたって……言い方を強そうにしても意味ないぞ」

「今回はたくさん取れるといいですね」

「私の味方はソフィーだけなのか?」

「ソフィーにはみんなリーダーさんの味方に見えますけど……」

「本人からしちゃ拷問とほぼ同じかそれ以上ってぐらいに恥ずかしいわ」


 これにはソフィーも苦笑い。泣けてくるな。

 というかさっきからリサがなんだか不思議そうな顔してるのが引っかかる。今の話でこんな顔するだなんてコイツ天然(この場合、バカって言った方が絶対合ってる)なんじゃないか? このチーム、ほとんどが天然じゃねぇか。


「なんかアンタめっちゃ『?』の顔してるじゃない。分かりやすく言えば四コマ漫画だとかのデフォルメシーンぐらいアホみたいな顔してるわよ」


 セツナがなんか代わりに言ってくれた。あとその例えはそこまでわかりやすくないぞー。


「そんな顔してるかしら?」

「自覚なかったのかよ」

「なんか引っかかってる事とかないの?」

「一応あるけど──ほんとに些細なことよ」


 コイツの言う『些細』は詐欺師並みに全く信用できない。まぁ仮に詐欺師だったとしても普通、詐欺師は信用できないことなんて言ってしまったら信用されないだろうからこの例えはおかしいのだが。それに解釈違いから起こるトラブルなんて多々ある。コイツ自身に騙すつもりはさらさらないだろうしどんな事を言っても笑顔で、それでいて紳士的(淑女的)に対応してやろう。


「シオヒガリで全然貝が掘り起こせないってどういう状況か想像できなくて」

「??? ソフィーはそのままの意味で受け取ってましたよ?」

「落ち着きなさいリサ、アンタの想像してる潮干狩りは何?」

「そりゃ、かの有名なシオヒを狩るイベントの事だけど……」


「え?」


「は?」


「は?」


 前言撤回。


「『なんで疑うのよ』だとか『みんなで一緒にシオヒガリしたかった』だとか言ってたけど、アンタ喧嘩売ってんの?」

「売ってないし買ってもらいたくもないわよっ!」

「まずシオヒ狩りってなんだよ初めて聞いたぞ」

「シオヒ狩りはそのるりり達が言ってる“潮干狩り”ってやつで取られずに残ってしまった貝たちの怨念から生まれた超巨大モンスター『シオヒ』を狩る一年に一度開催されるイベントよ」

「潮干狩りから生まれたモンスターを狩るからシオヒ狩りなのかよ! 随分と迷惑な名前だな!」

「こ、今度からこういう時は、今みたいにちゃんと詳しく説明してくださいね?」


 リサはごめんなさいと言わんばかりの顔で頷いた。……仕方ない、許してやるか。


「引き返すにしても、もうそろそろ残琉海岸に着くぐらいなのよね……」


 マジかよ。もう着いちゃうんだ。確かにちょっと海の匂い的なのモノがぷんぷんと……


「!! なんだかモンスターの気配がするわ……」

「シオヒとやらの気配じゃないのか?」

「それはもう数分前から感じてるわよ。それとは別にそこまで大きくない雑魚程度のモンスターの気配を感じるの」

「気配を感じられる類の魔法を持ってるんですか?」

「えぇ、持ってるわ。『フィーリンエネミー』よ」

「フィーリンエネミーなら他の魔法より信頼度高いですね」


 敵探知に特化してるかの様な名前だしそりゃ信頼できるな。しかも何もしなくても発動できるタイプの魔法みたいだし(そんなタイプの魔法があるかどうかとか知らないけどね)。というかそういうタイプの魔法って盗賊とかの人が持つものだろ、現にセツナが悔しそうな顔してるし。


「で聞いておくけど、どれぐらいソイツは雑魚そうなのよ」


 なかなか不機嫌そうに言うな〜。


「うーーん。ワンパンで倒せるぐらい?」

「とんでもなく雑魚じゃないの」


 魔法が主戦力のやつにワンパンって言われるって相当だな。多分スライム辺りのモンスターかな。

 と、思ったその時。ネチョネチョドロドロとキモチワルイ音が聞こえた。てことはやっぱりスライムなんだ。


「この音は“ガムスライム”でしょうか」

「“ガム”スライム?」

「ガムスライムはその名前の通りガムのようなスライムです」

「結構有名よ。アタシですら知ってるもの」

「今アンタのせいでわたし達が聞いたことないようなモンスターのとこに向かってるってのに何ふざけたこと言ってんのよ!」

「だ、だからそのことはごめんって」

「でも謝って無いじゃない、俯いただけで」

「ちょっと待て、流石にそれは言い方が──」

「お姉ちゃん、そんな甘えてちゃダメ。今回こそはちゃーんと反省してもらわないと」

「反省してるわよー!!」

「してないから怒ってんのよ!」


 あぁダメだコイツら、早く何とかしないと。ソフィーなんかどうすりゃいいか分かんなくなってあたふたしてるし。

 なんか奥の方でなんか震えてるけどもしかしてアレがガムスライムなのかな。スライムと言われて脳を過るかの有名な某スライムの形とは遠いけど、同人誌でよく出てくるようなえっちなスライムとかよりは某スライムに近い。そんなスライムだった。『顔が無いマスコット』みたいな表現が一番適切かな。もっとも、マスコットは作品の“顔”とも言えるので『顔がない顔』ってのはおかしな話だけど。


「お、お二人共ー!! 落ち着いてくださーい!!」


 んで、なんであのガムスライムは震えてんだ? もしかして二人の気迫に押されてるのか?


「こんなところで喧嘩してちゃ無駄に体力を消耗するだけですー!!」


 これでも生き物は生き物なんだな。しかもよわーい生き物。庇護欲が掻き立てられるぜ。


「聞いてますかーー?? このままだと第三勢力ことソフィーも喧嘩に参加しちゃいますよー!!」


 可哀想だしこいつは倒さなくていいかな──ところでさっきからソフィーですらも騒がしいけどどういう状況?


「ソフィー、どういう状況なんだ?」

「この二人が喧嘩をやめてくれないんです! だからソフィーも第三勢力として参戦しようとしてるんです!」

「一旦落ち着いてくれ! 言ってる意味が全く分からん!」

「すっすみません!! ソフィーとしたことが取り乱してしまいました。この子たちどうすれば喧嘩をやめてくれるんでしょうか……」

「そんなの簡単だよ。私が何かしら注意すればいいだけ」

「えーっそれなら最初っからそうしてくださいよ!」

「まぁ、その、言うタイミングを逃してね……」


 こんなことでぷくーっと頬を膨らますんじゃない。かわいいかよ。


「よーしお前ら。喧嘩はやめろー」


 私は若干棒読みでそう言った。


「「お姉ちゃん(るりり)がそう言うなら……」」


 ほーらね。愛って怖いよ。


「流石ですリーダーさん。この二人をなだめることが出来るなんて凄いです」

「今の内に言っとくけど、私が凄いんじゃなくてコイツらが凄いだけだからな」

「?? どういうことですか?」

「──気にしない方がいいよ」

「そ、そうなんですか……」


 そりゃ反応に困るよな。私だってこういうときどういう顔すればいいか分かんないもん。


「さーてガムスライムを倒すわよ!」


 さっきまで脱線して喧嘩してたやつがなーに言ってんだ。それに倒すのはちょっと可哀想じゃないか。悪いことしてる訳じゃないんだし。


「ふっふっふ……靴裏にへばりつく前にケリをつけてやるわ」

「ちょい待てちょい待て」

「何よ。今文字通りの必殺技を使おうとしてたんだけど」

「こいつ危害加えてこないし倒す必要ないんじゃないか?」

「……危害ないヤツが死ぬ日もあるわよ」


 そう言うとリサは何かの用意をし始めた。


「この子はここで死ぬ運命だったのよ」


 何か手に持ってるな。なんだあれ──ってさては今言ってた必殺技ってやつだな!?


「さよなら。ガムスライム。永遠に……」


 リサがガムスライム目掛けてチョコレートをぶちまけると、見る見るうちに溶けてしまった。

 ……それは本当に可哀想だろって。

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