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序章
地球が太陽系の一惑星として宇宙の片隅に生まれて約46億年。地球の歴史からすれば、その生物の1種である人類の進化と成長と地球にもたらした影響などは、ほんの一瞬の出来事に過ぎない。これからここに語ろうとするのは、人類のそう遠くない将来の物語である。
20世紀から21世紀にかけて、人類は世界大戦と称する争いと和解を4度繰り返した。そのきっかけは、宗教的な理由や国家間の対立や資源を巡る覇権争いなど、様々であった。そういった行為を繰り返したことで、急激な干魃と温暖化による海面上昇が生じた。その一方で未知の病原菌の大流行も起き、地上はもはや人類にとって住みやすい場所ではなくなってしまった。
そこで人類はまた行動する。あるグループは海中のあちこちにコロニーを作り、海洋資源を糧に次々と勢力を拡大していった。別のグループは地下にコロニーを作り、かつての地上での生活の名残を活用しつつ、再び地上での暮らしを目標に研究と努力を重ねていた。
時は2170年、ここから物語は始まる。