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秘匿ファイル199907dd-97 通信用クリスタルのxxのxx
それは、不幸な事故だった。
ヨーゼフ・ハンスブルクは次の千年紀をほんのあとわずかに控えたその年、慣熟を終えたAWー02からまだ制式化されていない第三世代型装甲服への型式向上に向けた訓練の最中だった。
AWー01とAWー02の差分から、AWー03の規格は予言されていたが、制式化されていない装甲服というのはなにかと手探りで、ヨーゼフ自身、伸び悩みを見せていた。
人間関係というものは複雑で、正味の所、彼は今の小隊長とは折り合いが悪かった。
研究員との話し合いも交えて、小隊の構成を組み替えてみようということになっていた。
彼は着甲していたAWー02の胸元をあさると、首から提げたクリスタルを引き出した。「これで、こいつともおさらばか」
こいつ、には二つの意味が込められていた。
ぎくしゃくしていた小隊長との決別との意味と、その小隊長と意識を繋ぐ絆のクリスタルとの決別との意味と。
小隊長自身もクリスタルを交換し、新たな小隊を組むことが決まっていた。
ヨーゼフは装甲を外すのを手伝いに来てくれた研究員と目を併せると、清々した気持ちでクリスタルを握りつぶした。
――注記、このファイルは二〇〇五年以降、秘匿扱いとなっておりこれ以上確認できなくなっている。




