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プロローグ
「困っている人がいたら助けてあげて」という彼女の言葉を思い出し、男は一歩前へと歩を進める。
目の前では、最強を名乗る炎の騎士が、今まさに少女を焼き殺そうとしている。
そんな中、男が少女の前に立つと、炎の騎士は一瞬驚いた顔をした後、すぐに表情に怒りをにじませる。
「貴様どういうつもりだ、そいつはなんの価値もない害悪、この国の正義であるリッターにさからうのか」
「無抵抗のものを殺すというならば、それは正義なんかじゃない、殺人だ」
炎の騎士は、男の返答にさらに怒りをあらわにする。