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京の妖気な料理茶屋  作者: ざくろ
1/1

プロローグ


亥ノ刻(10時頃)

行灯(あんどん)の火が揺らめく薄暗い部屋の中、中年の男と面をした男が向かい合って座っていた。

「して、どうなのだ?」

「ええ、憑いてますね、それも強力なのが」

「やはりか!ここのところ、壺や皿がいきなり割れたり、人魂が飛んでいたり、行灯(あんどん)の火が幾度も消えたり、寝ている時にも奇妙な気配を感じたり、」

「あー全てその憑いてるもののせいですねー」

「私はどうすればいいのだ?」

「私がその憑いてるものを浄化する儀式を行いますので、旦那様にはそのための費用をご用意して頂ければ」

「いくらだ?」

「20両になります」

「20両⁉︎そんなにかかるのか⁉︎」

「必要経費ですので」

「むむむ…」

ヒュッ ガシャーン

突然、床の間に飾られていた花瓶が飛び、柱に当たって砕けた。

「な、何だ?」

ヒュッ

次は積んであった巻物が宙を飛び交う

ガタガタガタガタ

障子や襖も音を立てて激しく揺れ始め、男は恐怖で震えだした。

「これは不味いですね、すぐに儀式を行わなければ旦那様の命が…」

「わかった!払う!払うから何とかしてくれ!」

頭を抱え、震えながら叫んだ男の言葉に面の男はほくそ笑んだ。

「では儀式の準備を致しましょう」




「また何かあればおっしゃってください。それでは」

20両が包まれた包みを持って屋敷を出た霊媒師が、しばらく歩いた先でその面を外す。

「ふ〜、今日も疲れたな〜」

「疲れたのは力を使った私の方。兄さんはあの男のビビリ顔を楽しんでただけでしょ」

脇に連なる家の屋根から、長い髪を一つに結った女が飛び降りてきた。

「そんなこと言うなって、ほらきっちり20両取っただろ?これであの男も少しは大人しくなるだろ」

「いっそ100両くらい取ってやればよかったのよ」

「流石にあいつもそこまでは出せな…おい、誰か倒れてるぞ」

2人の歩く道の先に倒れていたのは、浅葱色の羽織りを着た青年だった。

「おい、大丈夫か?」

「うっ…」

「この人、頭から血が…」

「ここなら医者よりうちの方が近い…仕方ない、一先ずうちに連れていこう」

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