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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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091.おそらくは、最終通告

「第二王妃の手の者だと自白したぞ。案外チョロかったな」


 そう、上機嫌でクロさんが言ってきたのは二日後のことだった。あのメイドさん軍団の口、あっさり割れたらしいね。へぼいなー。


「シロガネ国の人だと、厨房裏の匂いじゃ口を割らないのでは?」

「そうなんだよな。だから、コクタンの種族とカレンに頼んだ」


 ハナコさんが不思議そうに首を傾げると、クロさんはネタばらしをしてくる。コクタンさんの種族っていうと、真っ黒クロスケの影の皆さんだっけ? それと、カレンさんは……と思ってたら、これはご本人がネタばらし。


「サンジローがお顔ぺろぺろして差し上げたり、影の方々が視界の端をかすめたりしたのよー」

「わあ」


 サンジローって、あのでっかい伝書蛇の一頭だよね。それが顔近づけてきて、長い舌で人の顔ぺろぺろ……は、はは、めっちゃ怖いってそれ。


「一応拷問の域に入るのではないかなー、と思うんだけど……?」

「あら。だってサンジロー、人懐こくて遊ぼうってやってるだけよ?」

「間違ってもぱくりと食べたりはしねえしな」

「あたしは、逆に固まったねえ。向こうが」


 カレンさんは平然と笑ってるし、クロさんは耳をぴるぴる動かしてるし、ハナコさんは……うんまあいいか。

 しかし、今の発言ってクロさん?


「……つまり、やられたことがあると」

「べとべとになるんだよなあ」

「……洗うの大変だったんじゃないの?」

「風呂は苦手にゃー」


 ……変なところは、本気で猫だなこの猫魔王。でも、もふもふしたりしてるときに猫臭いことがほとんどないってことは、苦手でもちゃんと風呂入るんだよねクロさん。そこだけはホッとした、うん。


「ほどほどにしてね、とはあの子たちには言ってあるけどね」

「ほどほど、のレベルがどのくらいか理解してるのかい?」

「甘噛も駄目、とは言ってあるわよ」

「ならいいか」


 ハナコさんはガッチリした甲羅があるからいいだろうけれど、そりゃ私たちはあのでっかい軍団に甘噛でもされたら多分死ぬ。だから、カレンさんが駄目と言っておいてくれてたのは助かった。

 ……そうすると、ガチで敵が出てきたら……うん、考えるのやめよう。伝書蛇がいただきまーすするところとか、想像したくないし。


「さて、カレン」


 不意に、クロさんが声を上げた。あ、真剣な口調。というか怒ってる、かも。


「届け物を頼む。すぐに準備する」

「構いませんが、どちらまで」

「シロガネと、モイチノだ」

「分かりました。準備をしてお待ちしております」


 それに答えるためにか、カレンさんも真剣な顔をして応じる。届け物を、カレンさんに頼むってことはやっぱり何か重大なもの、なんだろうなあ。

 それに、シロガネと、餅の国に向けて届けてもらうものって。


「お届け物って、なんですかね。だいたい分かるんですけど」

「だろうな。文だ」


 そんな中、ハナコさんの質問にクロさんは短く答えた。文、つまり手紙を二つの国に送るのでカレンさん、持っていけということね。


「モイチノには侵略行為に対する抗議、シロガネには第二王妃の狼藉を告発する文をそれぞれ送る。カレンに届けさせる以上、向こうも無視はできまい」

「まあ、私がクロ様の名代として文を渡しに行くんですし。その私に危害を加えるってことはこれすなわち、ラーナン魔王国への宣戦布告とみなされても致し方ありませんわねえ」


 クロさんとカレンさんが、猫と人間のそれぞれドヤ顔で言ってのける。いや、その顔を餅の国とかシロガネ第二王妃とかに見せたほうが早くないっすか、お二人さん。


「危害はくわえられないでしょう、カレンさん。攻撃されて即座に反撃して、ではそういうことでと帰ってくるに決まってるんですから」

「まあ、そうなんですけどね!」


 ハナコさんも呆れ顔で、一度どすんと床を踏みしめてそんな事を言う。否定しないカレンさんもカレンさんよね、というか私もそのくらいして平然と帰ってくるとは思ってますが。


「安心しろアキラ、モイチノが何を言ってきてもお前は渡さんからなー」

「あ、はい、それはありがたいと言うか餅の国なんて行けって言われてもやだ」


 と、クロさんが分かりやすく私をもふりつつ額をこすりつけてきた。おうやはり石鹸のいい香りしかしない、ちゃんとお風呂入ってくれててありがたいなあ。よし、私もお返しにもふもふしよう。

 ……餅の国に行ったりしたらさ、何というか二度とこの毛皮をもふれない気がするんだよね。そもそもが、私を呪いの鎧で操って戦わせるような国だし。クロさんたち魔族のこと、嫌いな国だし。

 ……離れたくないなあ、今後どうなるかはともかくもふもふふわふわふにふにふかふかを手放したくないもん。


「大丈夫よ。モイチノがそんなこと言ってくるようなら、うちの三頭でちょっぴり暴れてきちゃうから」

「ほどほどにしろよ?」

「ほどほどって、城の外周が崩壊するくらいですかねえ」


 うんまあ、さすがにそこまでやってもらわなくても離れないとは思うんだけど、ねえ。

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