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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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088.護りを固めよ

 こんこんこん、とノックの音がした。ひどく響くんだよな、どういうわけか。

 扉のそばに控えてたメイドさんと外でしばらく言葉をかわした後、開いた扉の向こうから姿を見せたのはリューミさんである。


「お休みのところ、失礼いたします。魔王様」

「ん」


 頭を下げたリューミさんに対し、クロさんは鷹揚に頷いた。ところでクロさんよ、そのまま私に額こすりつけたり喉こすりつけたりしながら話を聞く気か。全く、この大猫め。


「国境付近で、我が国の部隊とモイチノと見られる部隊との戦闘の気配がする、とカレン殿から連絡が入りました」

「わかった」


 ぐーりぐり、と私の肩口にクロさんの額がこすりつけられる。猫って、こういうの好きだよねえ。


「さすがに交戦中では、遠距離から魔法撃ち込むのはリスクが高すぎるからなあ」

「カレン殿としても、味方巻き添えはやりたくないですし」


 ああ、この前の遠距離魔力ビームと同じパターンで気配見つけたのか。でも、今回は味方の部隊が戦ってるからさすがにビームはぶち込めなくてこっちに通報、と。なるほど、カレンさんが無茶やらない人で助かったってことね。

 と、クロさんの毛皮が私から離れた。さすがにいつまでも、お世話係にぐりぐりしてる場合じゃないもんなあ。

 ああ、でもちょっと残念。クロさんの毛皮、ほんとに手触りいいんだもん。お手入れしたの私たちだけど。


「すぐに行く。部屋に留守居役を呼べ」

「それは……なるほど。承知いたしました」


 クロさんの指示に一瞬口ごもったリューミさんだったけど、こちらを見てから何か納得したらしい。すぐにヤマダくんを……服の中から引っ張り出して、指示をしてる。頭をなでてもらってヤマダくんは、ふんとひとつ気合を入れるように頷いてから部屋を飛び出していった。頑張ってるなあ、ヤマダくん。

 ……と、そうか。わざわざ別の人にお留守番を頼むってことは、私たちは別のお仕事がこれからあるってことだ。


「二人には、ロンカ姫の方を頼む。一応俺の手勢も周りに置いてあるが、お世話係のお前たちは信頼できるからな」

「わかった。任せて」

「わかりました」


 やっぱり、お姫様の護衛に行ってくれってことか。とりあえずクロさんの身支度を整えさせながら、やれやれと考える。

 これからクロさんたちはまた会議だったり準備だったりするだろうし、そうするとロンカ姫の方の警備とかが疎かになるから。


「あと、俺の名において帯剣を許す」

「!」


 たいけん、って剣持ってっていいよってことだよね。カレンさんから聞いたことがある。

 普段は何しろお姫様相手なんで、武器は持っていくなって言われてるんだよね。それを持っていけってことは、ガッツリ警戒しなくちゃいけないわけか……何か状況、深刻になってるんじゃ?


「分かりました。まあ一応、木刀にしときますが」

「頼むぞ」


 って、ミカさんがさらっと答えてるし。というか、武器は武器でも木刀?


「なんで木刀?」

「切る方向が決まってる剣よりは、どこが当たっても分かりやすくダメージになるでしょ」

「なるほど」


 言われてみれば。木刀なら、方向とか関係なしに敵をボコればいいんだもんね。使いやすいか……特に、実戦はやったことない私とかだとさ。

 で、そんな事を話しているうちに「しゃあ!」と声がして、ヤマダくんが帰ってきた。一緒にやってきたのは……ああ、ハナコさんだ。


「呼びましたかね、リューミ様」

「ああ。済まないが、魔王様の私室の守りを頼みたい」

「お仕事ですか。今日の当番は……ロンカ姫の守りですね」

「そういうことだ。悪いな」

「かまいませんよ。もう一人か二人、お願いしたいところですが」

「すぐ手配する」


 彼女とリューミさんで、テキパキと話を進める。私たちのこと理解してくれてると、話がめっちゃ早いし。こっちはクロさんの着替え終わらせて、毛並み整えてるし。いや、だってちゃんと毛皮にブラシ掛けとかないと、何言われるか分からないもんね。

 しかしまあ、私たちのお仕事なんで増えたんだか。


「そういえば、何で私たちがロンカ姫の護衛に回るんだろ。今更だけど」

「信頼できる人物だから、ですな」

「え」


 サラッと答えてくれたのは、意外というかリューミさんだった。クロさんはというと、満足げにうんうんと頷いてる。ということは、少なくともこの二人は同意見ってことかあ。


「こちらは、シロガネ国の姫君をお預かりしている立場でな。無事にお返しせねば面目が立たん」

「そのためには、心から信頼できる者に姫の身辺を警護して貰う必要があります」

「なるほど。それで私たち、と」


 言われて納得する。ミカさん……は最初からわかってたかな、楽しそうに笑顔で私のこと見てるよ。ちぇー。

 でもまあ、どうせ護衛を出すなら信頼できる人じゃないと駄目だもんな。


「変なスパイとかいたもんねえ」

「そういうことだ」


 いやほんと、いろいろと大変だよねえ。

 ……あーでも、そういう任務につけてもらえるくらい私はクロさんの信頼を得てる、ってことか。

 えへへ。

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