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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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082.そばにいるのは

「ところで」


 デザートのプリンの美味しさに感動してると、カサノさんがずいと覗き込んできた。吸血鬼ってさ、何かドアップになると迫力あるよね。美人さんだし、真っ赤な目に吸い込まれそうになる。


「クロ様、アキラちゃんのことめっちゃお気に入りみたいやねんけど。そこらへん、どうなん?」

「どうって?」

「ほっぺた赤いで」

「うっ」


 いやいや、頬が赤いのは多分カサノさんの目のせいだと言いたいけど言わないことにする。口は災いの元、変なこと言ったら何されるかわかりませんはい。

 んでも、クロさんが私をお気に入りかあ。いやまあ、そうでなきゃもふりもふられの仲にはならないよね、うん。


「分かってんねやろ?」

「まあ、無防備に腹出されてる時点で結構好意持たれてるなってのは」

「猫やからなー」


 猫だからねえ。その辺の感覚は、人間も吸血鬼も変わらないってか。

 つーかお世話係とはいえ、吸血鬼に見守られながら爆睡してるんだろうな。あの猫魔王。信頼した相手に対しては、警戒心なさすぎだよねえ。


「アタシは同族以外は正直、おやつの供給先としか思ってないとこあるからね。クロ様も、それはご理解くださってはる」

「……血って、おやつなんですか」

「まあ、嗜好品の部類やね」

「はあ」


 そうして知った、吸血鬼の考え方というか血はおやつ。なるほどおやつか、食事とは別なのか。

 つまり今食べてるプリンと同じようなもんなわけだ、カサノさんにとっては。なるほどなるほど。

 で、そういう場合じゃなくてクロさんのことね。うん。


「……クロさんのことは、嫌いじゃないな。そうでなきゃ、お世話係なんてできないし」

「せやろねー。クロ様かて、そこらへんはよー分かってはる」


 カサノさんの言う通りだね。クロさん、自分が嫌でも私が嫌でも多分、配置転換してると思う。そのくらいには気を使える猫だし、魔王様だ。悪い人じゃないし、嫌いじゃない。

 でも、多分嫌いじゃないっていう言い方は、本音じゃないと思う。そこをカサノさんは、ずばりと突いてきた。


「せやけど、どないするん? 嫌いちゃうんと好きなんとは、全然違う話やで」

「……うん」


 嫌いじゃない。

 好き。

 この二つって、近いようで遠いよね。……私は実際のところ、どうなんだろう?


「いやまあ、恐れ多くも国王陛下のお腹でもふもふでけてる時点で周囲はそっちの方に見るで?」

「そっちの方ってつまり、お妃方面」

「せや。リューミ殿あたり、既にお妃候補としてリストアップしてるんちゃうかな」

「マジかー」


 その私にカサノさんは、外から見た場合どう見えるかということまで教えてくれる。つまり、少なくともめっちゃ仲良しと見られているわけだな。間違っちゃいないけど、それでお妃候補とか思われてるってのはどうなんだろ。

 まさかとは思うけど、これまでこんな感じで構い構われする相手がいなかったとかいうか。そりゃないか、あれだけ人懐こい魔王様なんだから。

 それはそれとして、リューミさんがリストアップ済みって方は考えられなくもない。ど真面目だから、とっととお妃様もらって後継者作って欲しいんだと思うし。……世襲制も大変なんだな、いやはや。


「少なくとも、どこの種族の嫁もらわせるよりも公平やしな」

「……魔族の王様ってのも、大変だね」

「せやでー、大変なんやで? 大昔はお妃争いで内戦に発展した、なんて話もあるさかいな」

「へ」

「そのくらい、めんどくさい話やからね」


 もっとめんどくさかったー!

 お妃争いで内戦とか何だそりゃ、血の気多いな! てーか私ごときで戦争されても困るし!


「……なんでそんなところに巻き込まれたんだろう、私……」

「クロ様が捨て魔物や捨て勇者拾ってくるくせがあるから、ちゃうかなー」

「…………捨て勇者」


 カサノさん、しれっとそんな答え返してくれてもほんと困るよ。捨て勇者ってモロ私のことじゃないか。

 そうだよなあ。私、餅の国に呼ばれて勇者とか言われて、この国に連れてかれてポイ捨てされたようなもんなんだよなあ。

 よくもまあ、クロさんが拾ってくれたもんだ。拾ってくれた時点では、クロさんも他の魔物たちと同じような感じだったんだろうなあ。


「……今でも、拾った魔物たちと同じ扱いだったりして」

「それはあり得るわー」


 思い立った言葉を口にしたら、あっさり頷かれた。だからカサノさん、悪い人じゃないんだけどたまに会話の相手としてはしんどくなるんだよね。


「せやけど、多分ちょっと違うんちゃうかなー。お世話係に置いたまんまやし、ちゃんと面倒見られてるやん?」

「あ、それは、うん」

「せやろ。普通はある程度懐いたり回復したりしたら、配下に面倒見てもらうように手配すんねで。クロ様は」


 配下に面倒見てもらうように手配。……私の場合、カレンさんのところで剣の修行するってのが一応当てはまるか。

 でも、今日みたいなお休みの日はあるけどほぼ毎日、私はクロさんの面倒見たり見られたりしてるわけで。


 ……………………んー?

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