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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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077.どうか良い結果に

「出陣かあ」


 数日後、ラーナン魔王軍の辺境偵察部隊がいくつか編成された。餅の国との国境に近い平原だけでなく、他の国との国境地帯も見回ることにしたんだそうだ。

 で、今日その部隊がお仕事場所に向けて出発するとのことで、クロさんは全身鎧の魔王様スタイルで出発式に出向く事になった。今、その準備が終わったところ。兜で猫頭隠すと、すっごくかっこいい魔王様なんだよなあ。声かっこいいし。


「俺もめんどくさいんだけどな。王が顔見せして部隊に頑張れーっていうと、みんなやる気出すんだよ」

「なるほど」


 兜の下から出てくるセリフはこんなのだけどね。あと、マントの下の尻尾がびったんびったんと不満を表明している。あー、よっぽどめんどくさいんだなこの猫。部隊を送り出すより、自分が行くほうが性に合っているというか。

 私と、一緒にクロさんの準備お手伝いしてたミカさんは思わず顔を見合わせて、苦笑した。私よりお世話係歴長いミカさん、当然このくらいは分かってるもんね。


「なんで、ちょっと声掛けしてくる。お前らは念のため、ロンカ姫と一緒にいてくれ」

「分かった。クロさんも気をつけてね」

「大丈夫だ……と言いたいとこだが、空から強襲なんて手を使ってくるかもしれんしな。しっかり気をつける。具体的にはカレン同行サンジロー付き」

「ああ、それはしっかり気をつけてますねえ」


 餅の国が、一体どんな手を使ってくるかは正直リューミさんでも分からないっぽい。というか選択肢多すぎというか。なのでクロさんは、最大限打てる手は打つつもりのようだ。カレンさんを護衛に連れて行くってのは、ある意味最大限だもんね。

 そして、私たちをロンカ姫のそばに置くってのも。


「あと、カサイの大ボスからも声掛けしたらもっとやる気出そうだしねえ」

「辺境の偵察と警備に出すだけだけどな。ただ、モイチノの連中がやる気みたいだし」

「実際に敵軍とぶつかるかはさておき、こっちも士気を高めておきませんとね」

「そういうことだ」


 でも少なくとも、餅の国と直接ぶつかる可能性がある偵察部隊のみんなにはしっかり頑張ってもらわないといけないし、そうするとクロさんの声掛けは大事なお仕事なんだろうしね。


「じゃ、行ってくる」

『行ってらっしゃいませー!』


 だから私たちは、声を揃えて猫魔王様を見送った。うん、あの後ろ姿は立派な国王陛下だよなあ。中身猫だけど。




 そうしてクロさんの指示通り、彼が部隊を送り出して帰ってくるまで私たちはロンカ姫のお部屋でお茶をごちそうになっている。今日はフルーツクリームのロールケーキだー。


「ラーナンの部隊が、出撃されますのね」

「そう。目的は不法侵入者の探索と排除だから、ごく当たり前のお仕事だけどね」


 親戚同士なんで、ミカさんもすっかり砕けた口調になってるなあ。あ、シロガネから来たメイドさんの目がちょっと怖い。いや、ミカさんだって一応そっちの王族だよね? 私は違うけど。


「辺境警備だってクロさん言ってたけど、そこで餅の国の部隊見つけたら当然戦うよね」

「主に山脈よりも都に近い側を警戒するそうですから、そこで見つけたらただの不法侵入ですよ。排除は当然ですね」

「それは、シロガネ国でも同じ扱いですわ。むしろ、モイチノ王国が進んで越境などという愚かな行為をなさっている事実が……」


 お茶もロールケーキも美味しいのに、話題で凹むんだよなあ。ていうか全部、餅の国のせいだし。


「証拠がないから餅の国もしらばっくれてるんだろうけど、多分今の部隊で証拠拾ってくるよね?」

「兵士や武器などを押さえれば。そのうえでモイチノとシロガネ、他の国に話をしてモイチノを裁く方向に進んでいくのではないかしら」

「モイチノ王国はともかく、第二王妃様はどうにかならないかしら……」


 あ、ロンカ姫が頭抱えた。そうだよね、彼女にとっては餅の国よりむしろシロガネ第二王妃のほうが問題だよね。下手すると自分殺しに来るわけだし。

 でもまあ、第二王妃といえばアレだ、餅の国と組んでるっぽいし。そういった証拠が向こうから来てくれればいいんだけど……無理かな? シロガネの国内の話だろうしなあ。


「第二王妃もどうにかするんじゃないかな。コクタン殿が配下動かしてるって話よ?」

「あ、ほんと?」

「ほんと」


 おっと、ここでミカさんから重要証言。コクタンさんの配下って忍びさんたちか、もしかして第二王妃周りに潜入させてるのかな。

 餅の国だって偽メイドさんとかやったんだから、こっちだってやることもあるわけだ。シロガネの王様には話通してあるのかな……いや、通してなさそうだ。話して分かる王様なら、今第二王妃がお城の中で幅聞かせてるなんてことなさそうだしね。


「……ラーナンにもシロガネにも、モイチノにも良い結果になるといいのですが……」


 ほう、とふっくらした頬に手を当てて、ロンカ姫はそんな事を言う。いや、餅の国にまで良い結果になるといい、なんてさすがはお姫様。優しすぎるって。

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