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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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073.ごたいめん

「ホー言います。よろしゅーに」


 朱色がメインで、色とりどりの羽を生やしたどこからどう見ても人間大の鳥であるこのひとが、ホーさん。

 というか、関西弁なんだ。派手めな外見に合ってる……いや、関西の人がみんな派手なわけじゃないんだけど、何となく。


「コクタンという。どうぞ、よしなに」


 名探偵の漫画に出てくる犯人みたいな全身真っ黒な人型、これがコクタンさん。ひどく落ち着いた声は……うん、口が動いてるのが何となく分かる。


「トモドー・アキラ。よろしく!」

「タチバナ・ミカです。よろしくおねがいします」

「すまんな、皆。アキラとミカから、今後のためにも顔合わせしたほうがいいと言われてなあ」


 ほにゃんと目を細めるクロさんを挟んで私とミカさんは、クロさんの補佐役さんたちと面会した。魔族の国だからか、結構面白い絵面だと思う。いろんなひとがいるのには、もう慣れた。


「言われてみたら、たしかにお世話係さんとはあんまり顔合わせませんなあ」

「だが、今の状況だからな。顔を合わせることも増えるだろう」

「ですなあ。もしお邪魔することなったら、すんまへん」


 へらへらと笑っているんだろうけど、何しろ鳥なので人間に比べて表情がわかりにくいホーさんと、まっくろけなのでやっぱり表情が分からないコクタンさんは、それでもこちらに気を使ってるのかちょっと言葉が硬い気がする。いや、気にしなくていいからさ。

 で、自分のことを先にお話ししてくれたのはやっぱりというか、ホーさんだった。


「わしは鳥ですさかいに、主に外回り担当しとります。たまに国境まで行ってよその使者さんご案内したり、モイチノとかの部隊を追い返したりもしてますなあ」

「え、ひとりで?」

「まさかあ」


 わはははは、と笑いながら爪のついた翼をぱたぱたと、これまた関西の人の手みたいに振りつつホーさんは答えて、そこから更に言葉をつなげた。


「嫁が補佐についてくれてますんで、ふたりでですわ」

「いやいやいやいや」


 他の国の使者を送り迎えするならともかく、餅の国の軍隊を追い返すのに奥さんとふたりで、なんて……えーともしかしてできるの?


「ホーの妻のオーは、かなり強いからな。雑魚軍団であれば、数百程度はふたりで吹き飛ばせる」

「言い過ぎですえ、陛下。わしは、嫁さんのお手伝いするだけですさかいに」

「よく言う。実力は同程度だろうが」

「こういうときは、奥さん持ち上げるもんや」


 あ、クロさんの言い方から分かる。マジでやれるんだ、ホーさんと奥さんのオーさん。空から爆撃とかするんだろうか……いやいやそういうことじゃなくて。


「多分、持ち上げる箇所が違うと思います」

「せやろか」


 呆れ顔のミカさんが入れたツッコミを、さらりとかわすのはさすがというかね。リューミさん、この人相手だと大変だろうなあ。

 で、ここまでじっと黙っていたコクタンさんがひとつ大きなため息をついて、口を開いた。


「自分はこの外見だからな、人前に出る仕事はできん。故に、隠密の統率をしている」

「なるほど。それじゃ、私たちと顔合わせる機会なんてほとんどないか」

「そういうことだ」


 ああ、隠密支配とかそういうお仕事か。そんなひと、たしかに他の部署と顔合わせとかあまりないよな……警備の人とかならともかく。


「……先だってのスパイを捉えきれなかったのは、こちらの不備にほかならない。済まなかった」

「へ? あ、いいえ!」


 いきなり頭を下げられて、慌てて手を振る。先だってのスパイてつまり、偽メイドさんのことだろうからね。

 そっか、城の中の警備にも関わってるんだろうしな、コクタンさん。でも、謝られるのは私たちじゃないよね?


「コクタン、その話はもういいと言っているだろう。今後、同じ不始末を出さなければよいだけの話だ」

「陛下、寛大なお言葉をありがとうございます」


 真面目か。いや、真面目じゃないと成り立たないお仕事だね。うん。


「んで、ミカはんはシロガネ王家の親戚やいうのは聞いてます。そちらのアキラはんは?」

「あ、えーと私は」

「クロ様が秘密基地に入り込んだモイチノぶちのめしたときに拾ってきた、そうです」


 私のことを尋ねてきたホーさんに、私がどう説明しようかと困る前にミカさんがずばりと答えてくれた。……なるほど、たしかに聞いた話だとそうなるな。自分はその時のこと、さっぱり覚えてないけどね。


「……陛下。ひとまで拾ってこられましたか」

「いやだってモイチノの連中、こんな可愛い子に呪いの鎧着せて操ってたんだぜ?」

「陛下、よー気づかはりましたなあ」

「匂いと雰囲気と気配でわかる」


 どんなだよ、と突っ込むのはやめにしておく。私がその時どういう状態だったのかは覚えてないし、その光景知ってるのは今となってはクロさんと、一緒に行ったらしいリューミさんだけだもんね。


「今更だけどクロ様、よくまあその状況でアキラさん拾ってきましたよね」

「自分の話だけど私もそう思う……拾ってもらえてよかったよう」


 そうして私は、ミカさんと顔を見合わせた。あ、多分お互いに顔ひきつってるね、これ。

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