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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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072.うっかりもふもふ

 何でも、餅の国がこっそり部隊をこの国の領土に潜り込ませているらしい。その対処に、クロさんやリューミさんたちは色々考えたり指示したり会議したりしてる。


「つーかーれーたーにゃー」


 そりゃ、いくら王様のお仕事してるんでも疲れるよね。今クロさんは会議終わった後の休憩中で、自分のベッドに大の字……じゃないな、しっぽがあるから木の字になってる。というか、語尾がにゃーか。


「クロさん、分かりやすく猫になってる」

「うにゃー」

「ま、分かりますけど」

「しゃー」


 しっぽをぱったんぱったんさせてるクロさんを見ながら、ミカさんが肩をすくめる。何かセンダくんがクロさんのしっぽに興味示してるけど、あれおもちゃじゃないからね。

 でもまあ、お部屋にいるときくらいはのんびりしててほしいよね。そういう場を作るのが、私たちお世話係のお仕事なんだから。

 ……ちなみに私の今のお仕事は、クロさんの喉をごろごろすることである。ミカさんはお腹もふもふ。……こんなんで衣食住完備のお仕事なんてすっげー贅沢だ、うん。


「会議とかたくさんで疲れたのは分かるんだけど、王様がお世話係にうにゃうにゃしてていいの?」

「いいんだ。まだ俺の出番じゃねーし」


 まあ一応、お国の危機っぽい状況でこんなことしてるんで大丈夫かと聞いてみたら、そんな返事が帰ってきた。まあ、多分今はリューミさんあたりがいろんな手配に走り回っていることだろう。あの人も大変だな。


「第一、司令官にしろ前線の兵士にしろ、きっちり休憩は取るべきなんだ。疲れた身体で作業してもミスが増えるだけだしな」

「ものを考えるのにも、しっかり寝て起きたほうがちゃんと働きますもんね。頭」

「そういうことだ」


 うん、その説明はすっごく分かる。テスト前に徹夜で勉強しても、いい点取れなかったもんなあ……途中で寝ちゃって。あー恥ずかしい、あの点数は怒られたわー。


「だから、リューミにもしっかり休みは取れって言ってあるんだ。一応、他にも補佐役はいるからな」

「いたんだ」


 あ、うっかり言葉に出しちゃった。

 いや、だってクロさんの補佐役、複数いたんだ? 私はこのお城に来てから、リューミさんしか会ったことないぞ。そりゃ、王様の補佐なんだから一人で足りるかっつーと……うーん、リューミさんなら足りそうだけど。


「いるみたいですねえ。私たち、リューミさんとくらいしか会わないんで実在を疑ってるんですが」


 っておい、ミカさんも会ったことないのかよ。そりゃわからんわ。実在疑うって、ほんと。

 つーかリューミさん……たまには他の補佐役のひとに代わってもらって、休んでいいと思うよ?


「いるぞ? スザク様の流れを汲むホーとか、先祖に黒の神でもいるんじゃないかって噂のコクタンとかな」

「どちらにもお会いしたことないんですけど、私」

「あ、私もー」


 呆れ顔のミカさんに、賛同の意味で手を上げてみた。

 ホーさんに、コクタンさん。そもそも名前からして、今初めて聞いたよ。クロさん、何でもっと早く紹介してくれないんですかーなんかあって顔合わせることになったらどうするつもりだったんですかー。


「んー、あいつらは基本、外向きに仕事してるからなあ。分かった、機会見て会わせる」

「お願いしますね。今のところお顔を知らなくても問題なかったわけですけど、モイチノ王国絡みとかで顔を合わせることになるかもしれませんし」

「そだな。それは俺が悪かった」


 同じことをミカさんも考えてたようで、きっちりクロさんをたしなめてくれた。よしよし、これでホーさんやコクタンさんと会うことができるな。

 ……ハナコさんとか、夜当番の人たちは会ったことあるんだろうか。入れ替わりのときに聞いてみるかな。


「アキラー、額なでてくれー」

「ああ、はい」


 うにゃんごろごろ、普通の猫がやるように頭の位置を変えてきたクロさんの文字通り猫の額を、ごりごりと撫でる。ふわふわの毛の下に、ちょっと硬い骨。そこをごりごりしてやると、クロさんはその感触が好きらしくて目を細める。


「ミカー」

「ブラッシングは程々にしておきますね。クロ様、キリがありませんから」

「そうだなー。頼むー」


 ミカさんの手にはいつの間にか、でっかいブラシが握られている。そうしてクロさんの毛がもっさり。長毛種だからなあ、こまめにブラッシングしないと傷んだりもつれたりするんだもん。

 今後餅の国のせいで忙しくなったら、ブラッシングの暇なんてなくなるかもしれない。そうしたらクロさんのこの毛並みや、ふわふわの触り心地が損なわれてしまう。

 猫の毛皮の心地よさは宝だ、と私は力説してやろう。餅の国なんぞより、クロさんのふわふわふにふにもふもふのほうが大事に決まってる。私がカレンさんのところで剣の修行をしているのも、一つにはクロさんのふわふわ以下略、を守るためだ。……まあ、餅の国死すべし慈悲はない、とも思ってるけども。

 ま、とりあえずはクロさんごろごろ任務を続行するとしよう。

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